ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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斎藤 珠里 text by Julie Saito 
[2008.05.12]

THEATRE de la VILLE パリ市立劇場公演から TONEELHUIS

SIDII LARBI CHERKAOUI : Origine シディ・ラルビ・シェルカウイ振付:『オリジン』

 アクラム・カーンと並んで最近、注目度が急増中のモロッコ系ベルギー人の振付家シェルカウイによる世界初演作品『オリジン』が4月22~26日、市立劇 場の付属劇場アベスで公演された。日本、アメリカ、アイスランド、南アフリカのダンサーを起用、4大陸を代表させることで世界のオリジン、つまりルーツを 描こうと試みた。ちなみに日本人は「かずとみ・こうづき」という名前の男性ダンサーが、柔軟な身体感覚を駆使した動きで好演していた。

 冒頭場面では、女性と男性の関係がコミカルに描かれる。先の日本人ダンサーのこうづきが、女性のスカートになったり、アイロン台になったり、掃除機に なったり・・・まさに顎で使われ、こうづきは関西弁で「いい加減にしろ」と怒鳴る場面もあるのだが、シェルカウイに言わせれば「男がいなければ女も存在で きない」。もちつもたれつの妙が描かれるのだ。舞台の奥は4つのアパート空間に仕切られ、男女2人ずつがストーリーを織り成してゆく。

 先のカーンとギエムの作品にも通じるのだが、ここでも音楽グループとダンサーが見事に溶け合った舞台だった。歌とゴシック・ハープ、リュート、パーカッ ションという組み合わせで、ビヨークが結成したバンドだという。ヨーロッパの民謡的であり、イスラム文化圏の音楽のようでもあり、歌詞はキリスト教のミサ 典礼が使われる、といった無国籍音楽なのだ。まさに世界はひとつ、を作品の中核に据えたかったシェルカウイの平和へのメッセージが聞こえてくるようだっ た。
(2008年4月26日、パリ、テアトル・ド・ラ・ヴィル)

『オリジン』 『オリジン』 『オリジン』