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プルミエール・ダンスーズに昇進したばかりのクララ・ムーセーニュ(パリ・オペラ座バレエ)にインタビュー

ワールドレポート/パリ

インタビュー=三光洋

11月4日にガルニエ宮で行われたパリ・オペラ座バレエ団の昇進試験でスジェのクララ・ムーセーニュがプルミエール・ダンスーズに昇進した。その翌日、ガルニエ宮に近いホテルでお話をうかがった。

――昇進おめでとうございます。

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クララ・ムーセーニュ © 田中壱征

ムーセーニュ ありがとうございます。

――Dance Cubeのスタッフからも「おめでとうございます」とのメッセージが届いています。

ムーセーニュ うれしいです。

――プルミエール・ダンス-ズに昇進された今のお気持ちをお聞かせください。

ムーセーニュ ほっとした、というのが正直な気持ちです。この結果はダンスを始めてから今まで積み重ねてきた練習の結実です。昇級試験が3年間なかったので、今回、復活したのは本当によかったです。スジェを対象にした最後の昇級試験は2022年でしたから。試験に参加できて、きちんと準備ができたことに満足しています。試験の準備をしてくださったのはミリアム(・ウールド=ブラーム)でした。

――いつ頃から準備を始められましたか。

ムーセーニュ 自由曲のピエール・ラコット振付『パキータ』のグラン・パは、7月にはこれを踊りたいな、と思いました。そして少しづつ練習を始めました。課題曲は1ヶ月前から練習しました。課題曲の応募者全員に対する指導コーチはジェラルディーヌ・ヴィヤール(パリ・オペラ座バレエ学校教師女子第4学級担当、元スジェ)でした。小さい時に習った先生でいい指導をしてくださいました。久しぶりにお会いできてうれしかったです。現役時代にクラシックだけでなくコンテンポラリー・ダンスも踊った方です。課題曲は3つありました。セルジュ・リファール振付「ラ・シガレット」(『白の組曲』から、音楽エドゥワール・ラロ、1943年)、ジョン・ノイマイヤー振付『くるみ割り人形』から第2幕「ルイーズ」のヴァリエーション(音楽チャイコフスキー、1971年)、モーリス・ベジャール振付『春の祭典』から生贄の女のソロ(音楽ストラヴィンスキー、1959年)です。私は「ラ・シガレット」を選びました。

――3曲の中からこの作品を選んだ理由と言いますと。

ムーセーニュ 『春の祭典』は私はクラシックのダンサーなので選びませんでした。「ルイーズ」はとてもいいヴァリエーションですけれども短い曲なので、長い「ラ・シガレット」にしました。2022年の昇級試験の時に「ラ・シガレット」をすでに踊って昇級していたので、象徴的な意味もありました。長いヴァリエーションで、とても興味を持てる曲です。私はセルジュ・リファールのスタイルが大好きなのと、ラロの音楽が本当にきれいなので選びました。

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© Maria-Helena Buckley/ Opéra national de Paris

――ジェラルディーヌ・ヴィヤールさんからはクララさんに対して特別なアドヴァイスがありましたか。

ムーセーニュ 上半身の動きに注意するように言われました。ごく最近、他の人に言われたのですけれど、私の腕は長いそうです。ですから、腕をうまく使わないといけないし、肩を下げるようにしないといけません。もちろん足も大事です。それに、昇級試験の時でもダンスを楽しむように言われました。というのも、昇級試験に参加するプロセスはかなり大変なんです。
私は9時半から(個人の)練習を始めて、10時から全員と11時30分までレッスンがあります。そのあと、13時30分から16時まで、時に夜の公演がない時は18時までリハーサルがあります。そして、『ジゼル』のある晩は、それからコール・ド・バレエの一員として24人いるウィリの一人になるか、あるいはミルタとして舞台に立ちます。今回のシリーズでは23回公演のうち11回ミルタを踊っていますから、かなりハードな日程でした。「それでも踊りを楽しみたい」と思ったので『パキータ』を自由曲に選びました。跳躍が特徴の曲で、喜びにあふれていますから。それに金の刺繍があるチュチュでとても可愛いんです。パキータは好きな役です。リファールの「ラ・シガレット」のヴァリエーションは3分半かかるのにたいして、もう一曲の方は1分なので、コントラストが出ていい組み合わせになると思ったんです。楽しむには、たくさん練習をしないとだめです。候補者の誰もがプルミエール・ダンスーズになりたいんです。私もずっと前からそう思っていて、今回昇級試験が復活したので、「このチャンスしかない」と思いました。やる時には本当に決心しなければのぞめない試練です。

――試験の当日はどんな状態でしたか。ストレスを感じていましたか、それともリラックスしていましたか。

ムーセーニュ もちろん多少緊張していました。でも、いったん舞台に上がってしまえば、気持ちが落ち着きました。いい気持ちでした。公演の時でも、始まる前にストレスを感じるのは当たり前だと思います。前の晩は寝ようとしても、4時間毎に目が覚めました(笑)。昇級試験は前より遅い時間になりました。(注:スジェの女性は16時15分にオルタンス・ミエ=モーランでスタート。クララさんは2番目の出場)前の開始時間は9時でしたから、今回は待っている時間が長かったです。
でも、舞台の袖に来た時には何をしたいのかがはっきりわかっていました。それに、私は一人でないこともわかっていました。私を愛してくれている人たちがいて、私も最大限の準備をしました。ですから、舞台に出たら、「この機会を楽しもう」という気分になりました。準備が整っていて、音楽が聞こえてくると、「その瞬間を生きるだけでいいんだ」ということがわかりました。自分一人の舞台で、観客と審査員団の前で長い時間のソロを踊れるのは例外的なことです。

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© Maria-Helena Buckley/ Opéra national de Paris

――踊り終えて どのようなお気持ちでしたか。

ムーセーニュ もちろん、細かいところで気になったことはありましたけれど、何よりも疲労を覚えました。最初ミルタを8回踊るはずだったのに、3回追加があったからです。でも、これだけミルタを踊るという経験ができたのに満足しています。
昇級試験の全部が終わった後も、本当に気に入ったので、パキータの金の刺繍のチュチュをずっと付けたままでした。最後には外さなければ成りませんでしたけれど(笑)。幸せな時間がずっと続いていたんです。自分がやり遂げたことには満足できました。審査結果が出るまで待っている時間は長く感じられました。昇級試験では何が起こるかわかりませんから。上手に踊れても、ダンスは主観的な芸術なので、気に入ってくれる人もいれば、気に入らない人もいます。受け止め方は上手に踊れたかどうかとは違います。他の人から抜きん出ていたならば、論議にはなりませんけれど。

――昇級試験の前に、ミリアム・ウールド=ブラームさんはどんなアドヴァイスをしてくれましたか。

ムーセーニュ 「アーティストでありなさい」と言われました。この言葉は胸に残りました。それから「自分に自信を持って、そして舞台に出たら、楽しんできてね」という言葉をかけてくださいました。
昨日、父(ブリュノー・ムーセーニュ氏は外科医)は仕事を終えて観に来てくれました。姉とその夫は二人とも会社で働いていましたが、私のことを思っていてくれました。会場に来てくれた人たちと来なくても応援している人たちがいる、ということは大きな支えになりました。
結果が出たのは19時だったと思います。その前に、ジョゼ・マルティネズ(舞踊監督)の秘書が電話してきて、「舞踊監督の事務所に来てください」と言われました。「まだ結果が出る前なのに、私は何かやってしまったのだろうか」と、自問自答しました。結果を書いた紙をガラス戸に貼り出したのですけれど、最初に一瞥したところでは私の名前はありませんでした。「どうしたのかしら。どうなっているんだろう」と目の前が真っ暗になりましたが、しばらくしたら名前が見つかって、ホッとしました。

――マルティネズ監督からはどんな言葉がありましたか。

ムーセーニュ 彼は満足していて、「ブラヴォー、おめでとう」と声をかけてくれました。それから「プルミエール・ダンス-ズになったけれど、すべてがあなたの思う通りにはいかないよ。まだ21歳で時間が十分にあるのだから、少し待つ必要がある。君にやる気があるのはわかっているけれど」と言われました。私自身としてはその用意はできているのですけれど。21歳でも、役を踊りたいと思った時には踊りたいんです。オペラ座でもみんながみんなモチベーションが高いわけではないので、21歳でもやりたいですね。もちろん、彼の言うことはわかります。彼も思い通りにできないのに欲求不満になっているところがあります。まずエトワールに役を振って、それからプルミエール・ダンスーズという序列の問題です。でも一つだけはっきりしているのは、もうコール・ド・バレエのメンバーではないことです。それだけは本当です(笑)。

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© Maria-Helena Buckley/ Opéra national de Paris

――ほっとしているんですね。

ムーセーニュ はい、そうです。一つの役を深めることができるようになり、自分のことをよりいっそうわかることができるでしょう。役の準備に前よりも時間がかけられます。

――「ラ・シガレット」はとても良かったと思います。軸のぶれない安定、軽さ、優雅さを感じました。

ムーセーニュ ありがとう。ともかく、オーロラ姫を初めて踊った3月から私を見てくれているミリアム(・ウールド=ブラーム)にお礼を言いたいです。彼女のおかげで大きく成長することができました。

――特に軽さでしょうか。

ムーセーニュ ミリアムは羽根のように軽いんです。彼女が踊り出すと圧倒されます。優しくて、魅力があって、頭脳明晰です。

――ミリアムさんは引退するまで、若々しさを保っていましたね。

ムーセーニュ ええ、彼女は想像力が豊かです。イメージを思い浮かべて役を作っていきます。要求度の高い人で、やらなければならないことは徹底させます。それだけでなくて、私に合わせて指導してくれます。彼女は独自のスタイルを確立したダンサーで、同世代の中で最も美しいダンサーの一人ですが、私に何かを押し付けるのではなく、「こうしたらどうかしら」という提案をたくさんしてくれて、今の私に一番あったやり方を一緒に探してくれます。ですから彼女との練習は本当に意義深いのです。息子さんが二人いる母親でもあり、夫はスジェのミカエル・ラフォンです。ミカエルと一緒に毎朝やってきてほとんど毎日会って、朝9時半から私の指導をしてくれています。
私に自信を与えてくれたのも彼女です。信頼してくださって、私が知らなかった能力を引き出してくださいました。動きの柔らかさを時間をかけて指導してくれてもいます。足はもちろん腕もです。本当に多くを彼女から学んだのは腕と背中という上半身です。彼女は優美さを持っていて、それを私にも伝えようとしてくれます。自分の中にはあったけれども、自分では見つけられなかった優美さを掘り出してくれました。「テクニックが素晴らしい」と言われることが多いのですが、私は芸術的なダンサーになりたいんです。彼女は私には芸術的な面があると思っていて、この側面をこれから時間をかけて磨いていこうと思っています。ミリアムには心から感謝しています。

――今シーズンのクラシックでは、これから『ロメオとジュリエット』(ヌレエフ振付)、『椿姫』(ノイマイヤー振付)、『ラ・バヤデール』(ヌレエフ振付)がありますね。

ムーセーニュ プルミエール・ダンスーズになる前のプログラムでは、『ロメオとジュリエット』と『ラ・バヤデール』に出ることになっていました。この二つはコール・ド・バレエとしてすでに踊ったことがある作品です。コリフェだった時に『ラ・バヤデール』の第2の影と壺を頭に乗せた「マヌゥ」を踊っています。『ロメオとジュリエット』ではジュリエットの分身を演じました。ヒロインが毒を飲む時に横にいる役です。今度、何を踊ることになるかは全くわかりませんが、どうしてもニキヤは踊りたいです。ガムザッティも興味があります。ジュリエットもぜひやりたいです。21歳という年齢だからこそ、今、踊りたい役なんです。

――役の人物の年齢に近いですね。

ムーセーニュ ええ。あと2・3年後にまたチャンスはあるかもしれませんが、今、踊っておけば経験を積めます。キャリア、私生活の両面で年齢によって条件は変わっていきます。21歳でジュリエットとニキヤを踊ることができれば、その後にも大きなプラスになります。やりたいという気持ちがあれば、踊れると思います。

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© Maria-Helena Buckley/ Opéra national de Paris

――プルミエール・ダンスーズになれば(註:正式な昇級は2026年1月1日)主役につきやすくなりますね。
クララさんが11回踊ったミルタについていくつか質問させてください。24公演あるシリーズで11回というのはほぼ半分ですね。アマンディーヌ&ギヨームの組み合わせと4回、ドロテ&ユゴーと3回、セウン&ジェルマンと2回、レオノール&マルクと1回、マリーヌ(・ガニオ)とアンドレアと1回ですね。

ムーセーニュ はい、そうです。

――一緒に踊っていてどの組み合わせが良かったと思いますか。

ムーセーニュ ドロテはこれが最後のスペクタクルでした。何度も踊ってきたということは同じ舞台にいてよくわかりました。セウン・パクとジェルマン・ルーヴェの組もとても良かったと感じました。いずれにせよ、どの組み合わせも良かったと思います。レオノールとマルクはすでに前に踊っているのに対して、マリーヌ・ガニオとアンドレア・サーリは初めてでしたが、一回踊ったことがあるのとないのでは大きな違いがあります。最初はジゼル役とアルブレヒト役の方を注意して見ていましたが、途中からは気にしないことにしました。私の王国にいる二人のタイプに合わせて、自分が演技するように心がけました。いろいろなタイプの組が王国に来ましたが、みんな、一人一人視線が違うので面白かったですよ(笑)。他のダンサーを観察するいい経験になりました。

――役が決まったのはいつでしたか。

ムーセーニュ ジョゼから話しがあったのは7月でした。しかし、4番目のキャストだったので、8回踊るとわかったのは初日の1週間前でした。それに代役を3回やりました。前にやったことがあったので楽だったのは確かです。昨年とは違うやり方にしましたけれど。経験を重ねることで、役を深められたと思います。ミルタという役は背が高くて意地悪、というステレオタイプでみなさん想像されていると思います。まず、ミルタはエトワールの役で、第2幕の中心人物です。第2幕はミルタによって幕が開くと言って良いでしょう。毎回踊っている間に、この役がきちんとコントロールされていないといけないこと、強靭さが必要なこと、それに霊と言っても女王ですから威厳がないといけない、ということに気づきました。強さ、権力を持っていることが、度を越さないような形で表現されないとダメです。回を重ねることで多くのことを学べました。舞台の上に一人だけでいる、ということも気持ちが良いものでした。

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© Maria-Helena Buckley/ Opéra national de Paris

――最初の日と最後の日を観ましたが、その間に成長されたな、と感じました。最初は第3ロージュ、最後は平土間と場所が全く違っていて、違う角度で観られたのもいい経験になりました。

ムーセーニュ そうでしょう。この作品でのコール・ド・バレエの素晴らしさは上から見るとはっきりわかりますから。スジェとして、エトワールの役をやるとともに、他の日はコール・ド・バレエの一人として舞台に立ちました。プルミエール・ダンスーズになれるかどうかはわからなかったけれども、信頼されてミルタを任せられてうれしかったですし、コール・ド・バレエを踊ることで得ることもありました。ミリアムさんからも「コール・ド・バレエとして練習しなければならないこともきちんとやりなさい」と言われていました。『ジゼル』ではコール・ド・バレエは立っているだけの場面が多いですけれど、そのために多くの主役カップルを近くから見るチャンスでもありました。これからはプルミエール・ダンスーズとして新しい、全く今までとは違う人生が始まります。エトワールの役を踊り、役柄を深める時間があるようになります。大きな役をもらうのが自然になります。

――スジェでありながら、これだけ大きな役がついたのは例外的でした。ジョゼからの信頼が篤い証拠でしょう。

ムーセーニュ ええ。彼は私を信頼してくれています。舞踊監督であるジョゼが私にやる気があり、全力を尽くして役に取り組むということを知っていてくれる、というは大切です。ダンサーは観客と喜びを分かち合う芸術なので、観客の方々にも私が成長していく姿を見守っていただきたいと思っています。踊っていて、今まで知らなかった自分を私が見出すとともに、観客の方にも私の新たな面を見ていただければ幸いです。最初、ミルタにはちょっと若すぎる、と言われたこともありますが、私にとって年齢は問題ではなくて、役をきちんと踊ることだけが重要です。

――クララさんはこれから21年という長い期間、ソリストの役を踊るチャンスがあるのですから、これからが楽しみです。

ムーセーニュ これからも練習はずっと続きます。役を作りながら、私は自分の道を歩いていきます。進歩したいという気持ちが原動力になると思っています。

――前回3月にお会いした時に、クララさんは「ヌレエフがオペラ座では最も大事なレパートリーだ」ということを強調しておられました。

ムーセーニュ 今シーズンは『ラ・バヤデール』と『ロメオとジュリエット』の二つがありますね。

――来年以降も必ずあるので、踊る機会は増えていくと思いますが、「ヌレエフ作品は全部踊りたい」という感じでしょうか。

ムーセーニュ そうですね。全部踊りたいですね。ヌレエフの振付は本当にきれいだし、それに音楽も素敵です。それにやっぱりオペラ座の遺伝子ですから。もう亡くなっているけれど、今のオペラ座があるのは彼のおかげです。『ラ・バヤデール』『白鳥の湖』『眠れる森の美女』『シンデレラ』『ロメオとジュリエット』とどれも彼の作品です。伝統的なバレエをロシアから持ってきました。それがオペラ座の遺伝子になっている。もちろん、それを全部踊りたいですね。あとは違う振付家もいますけど。

――今回はセルジュ・リファールを踊られましたけれど、他の振付家では。

ムーセーニュ バランシンは「ダイヤモンド」を本当に踊りたいですね。初めて作品を見た時に音楽はチャイコフスキーで、すごく素敵な、綺麗な音楽で思わず泣きそうになりました。綺麗すぎて。特にパリ・オペラ座のダンサーが踊っているのが素敵でした。大体、「ダイヤモンド」はロシア人のために作られた演目で、「エメラルド」はフランス人のためでした。「ダイヤモンド」を踊りたいし、あと今シーズン『テーマとヴァリエーション』もあって、私はスジェだったから役に入っていなかったけれど踊ってみたかったですね。それからフレデリック・アシュトンも踊りたいです。『ラ・フィーユ・マル・ガルデ』を踊っていますけれど、主役のリーズは本当にもう一回踊りたいですね。あとリファールも踊りたいですね。『白の組曲』。あまり上演されないけれど、課題曲に出たから、また掛かるかもしれないな、と思っています。12月には「コントラスト」公演でダヴィッド・ドーソン振付『アニマ・アニムス』を踊ります。ドーソンは、来週、オペラ座に来るみたいです。インスタで見ていると、彼の振付はすごくきれいで、音楽も綺麗なので、踊ってみたいなと思っています。やっと今回踊れるから嬉しいです。ジョン・ノイマイヤーも『椿姫』を踊れたらうれしいけれど。まだわかりません。

――まだ時間があるから、踊る機会はあるでしょうね。

ムーセーニュ うーん。ノイマイヤーには30分でも会ってみたいと思っています。それで「あなたに踊ってほしい」と言われたらどうしても踊りたいですね。マッツ・エックの作品はまだ踊っていないです。

――木田真理子さんが2015年にガルニエで主役を踊った『ジュリエットとロメオ』という作品があります。

ムーセーニュ あー、本当ですか。知らなかったです。『ジゼル』は知っていたけれど。

――パートナーとして踊りたいのはダンサーはいますか。

ムーセーニュ オーロールの相手役のロレンゾ・レッリは素晴らしいパートナーです。シェール・ワグマンも踊っていて楽しいです。マニュエル・ルグリ振付『シルヴィア』のナイヤード(水の精)を初めて踊った時のフォーヌ(牧神)が彼でした。オペラ座で踊ってから、ベルギーのガラ公演でも彼と踊りました。本当にいいダンサーで、彼も今回の昇級試験でコリフェになりました。

――エトワールではいかがですか。

ムーセーニュ 12月の「コントラスト」公演の『アニマ・アニムス』ではジェルマン・ルーヴェと踊ります。エトワールの男性はみんな良いダンサーたちです。マルク・モローとはイタリアのロベルト・ボレのガラ公演で代役として踊っていますが、感じの良い人で気持ちよく踊れました。男性のエトワールから「あなたと踊りたい」と言ってもらえたら、本当に幸せです。彼らと踊れることは素晴らしいですね。

――私たち観客はクララさんがエトワールのダンサーと踊るのを観るのを楽しみにしています。
今日はお疲れのところ、貴重な時間を割いていただきありがとうございました。

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