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渡辺真弓 text by Mayumi Watanabe 
[2006.04.10]

パリ・オペラ座現代作品ミックス・プロ、世界初演アブー・ラグラ振付『時の風』ほか

 パリ・オペラ座バレエ団では、バスティーユでの『ラ・バヤデール』と平行して、3月6日から4月1日まで(3月28日はストのため中止)ガルニエで、勅 使川原三郎振付『AIR』、アブー・ラグラー振付『時の風(Le Souffle du Temps )』世界初演、イリ・キリアン振付『ベラ・フィギュラ』の3作品によるミックス・プロが上演された。

 冒頭の勅使川原作品は、ジョン・ケージの音楽で、2003年にオペラ座バレエ団で世界初演されたもの。今回は、カデール・ベラルビが加わり、彼の存在だ けで舞台が遥かに引き締まり、別の作品のように見えた。欲を言えばベラルビには、ラグラーの新作にも出てほしかった。実際、舞台構成にかなり手が加えられ たようで、前回より動きの変化に富んだ改訂版がお目見えした。女性ソリストでは繊細なミテキ・クドー、透けるようなシャルロット・ランソン、男性ではジェ レミー・ベランガールとジル・イゾアールのインパクトのある踊りが光った。


<時の風>

<時の風>

<時の風>

  世界初演の『時の風』は、エトワールのマリ=アニエス・ジロー、マニュエル・ルグリ、ウィルフリード・ロモリ の3人をソリストに、コール・ド・バレエを交えた新作。これだけの顔ぶれを揃えたので、アルジェリア出身のラグラーには期待するものがあったが、意外に平 板で肩すかしを食ってしまった。冒頭、黒の衣裳をまとったジローのソロは、迫力があったが、プレルジョカージュ振付『メディアの夢』を想起してしまった し、全体に流れるような動きを追求した振付や、音楽にピアノの響きが混じった点など、『AIR』に作風が似通っていて、発想の行き詰まりが感られてしまっ た。

 

 最後のキリアン作品は、何回か見ているにもかかわらず、初めて見るように新鮮で、各シーンに引きこまれた。デュポン、ベラルビ、ロモリ、シアラヴォラ、 モローなどなど、贅沢な顔ぶれで、その集中度の高い踊りの一つ一つに目が離せず、時の立つのを忘れるほどだった。幕が降りた瞬間、もっと見ていたいと名残 惜しい気持ちになったのは私だけではなかっただろう。

 


<AIR>

<AIR>

<ベラ・フィギュラ>