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渡辺真弓 text by Mayumi Watanabe 
[2006.07.10]

パリ・オペラ座でノイマイヤー振付『椿姫』

 ガルニエでは、6月20日からノイマイヤーのバレエ『椿姫』が始まった。初日は、当初アニエス・ルテステュとエルヴェ・モローの予定だったが、モローが負傷したため、オレリー・デュポンとマニュエル・ルグリのペアに交替。ルテステュは、終盤の7月13、15日の2日間、ハンブルグ・バレエのイリ・ブベニチェクをパートナーに、マルグリットを踊ることになった。

 ノイマイヤー版『椿姫』は、今から28年も前の1978年の初演。日本では全幕版がすでにハンブルグ・バレエ団の来日公演で紹介されている。

 音楽は、すべてショパンのピアノ曲でまとめられ、『ピアノ協奏曲第2番』をはじめ『ソナタ作品58』よりラルゴ、『バラード作品23』などを集めて構成されているが、ショパンの曲がこの作品のために書かれたかと思えるほど、音楽と主人公たちの心情とが見事に一致している。振付は、主役のマルグリットとアルマンの恋人たちのパ・ド・ドゥを各幕の芯とし、特にリフティングのテクニックなどで、ノイマイヤーは、師のクランコやマクミランの手法をさらに高度に昇華させ、きめ細かいドラマティック・バレエを創ることに成功している。

 全3幕を通して、ユルゲン・ローゼの落ち着いた色彩の舞台美術が、品のよい効果を上げている。
 デュポンのマルグリットは、華やかで、どこにいても目を引く。1幕はもう少し表情が和らげばと思ったところもあったが、2幕の田舎の場面では、白い衣裳と流し髪がよく似合い、妖精的な美しさ。これから舞台を重ねるうちに、役作りが一層深まっていくに違いない。
 アルマンのルグリは、全身全霊をかけた体当たりの演技で感動を誘った。とりわけ、男性にとってはかなりハードなリフティングをよどみなくこなし、マルグリットとの愛のパ・ド・ドゥでは、随所で山場を築いた。

 マルグリットが常にその運命の影に取り憑かれるマノン・レスコーを演じたイザベル・シャラヴォラ、デ・グリューのジョゼ・マルティネズが好演。ガストンのカール・パケット、プリュダンスのノルウェン・ダニエル、オランピアのミリアム・ウルド=ブラームらも要所要所で存在感を出し、アルマンの父親には、ミカエル・ドナールが客演し、舞台に厚みを加えていたのがうれしい。
 指揮は、1998年から、ハンブルグでノイマイヤーのバレエを振っているミヒャエル・シュミンツドルフ、ピアノは、エマニュエル・ストロッセルとフレデリック・ヴァイセ=クニッテル。
 続いて現在、新たにアルマン役として登場したマチュー・ガニオの名優ぶりに話題が集中しつつあるところである。


<椿姫>デュポン&ルグリ
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