ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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秀 まなか Text by Manaka Shu 
[2010.07.12]

充実したコール・ドとベテランの熱演、初役の若手が活躍した『ラ・バヤデール』

Ballet de l'Opéra national de Paris
パリ・オペラ座バレエ団
Rudolf Noureev : La Bayadère
ルドルフ・ヌレエフ 『ラ・バヤデール』
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『ラ・バヤデール』と言えば、第3幕の<影の王国>がパっと脳裏に思い浮かぶ。24人もしくは32人の精霊たちが1人ずつ坂を下り、勢ぞろいしてからも淡々と踊り続ける姿は壮観だ。
だが、このコール・ド・バレエの真髄の場面は、ダンサーにとっては地獄の8分間である。薄暗い照明の下でアラベスク・アロンジェを繰り返し、エカルテ・ドゥヴァンや、アラベスク・パンシェ、パ・ド・ブレをしながら、ゆったりとしたアダージュの音楽で踊ることはごまかしがきかない。さらに、そのパを大人数で一糸乱れずに踊らなければならないのだから、相当の集中力が必要不可欠だ。
精鋭揃いのパリ・オペラ座バレエ団のコール・ド・バレエにとっても、それは同じ。誰か1人がミスすれば、一気に精霊の世界を壊してしまいかねず、一舞台ごとに、真剣勝負の試練が課せられる。5月17日から始まった公演の1週目は、32人全員に過剰な緊張感がのしかかり、毎晩誰かがどこかでミスをしそうになっていたが、オペラ座のダンサーたちはここからが違う。鍛え上げた強靭な筋力で粘りを見せるのだ。通常なら、確実に倒れてしまうぐらいにバランスを崩していても、上げている脚を少しだけ低くしたり、音楽を早取りしたりして自力で調整し、最小限のミスに留めてしまうのである。
公演2週目に入ると安定感を増してゆき、ミスをする雰囲気を醸し出すダンサーすら1人もいなくなった。日本の新国立劇場バレエ団、かつてのマリインスキー・バレエ団のように、寸分違わず揃うレヴェルまではいかないものの、舞台回数を追うにつれてまとまりを見せるようになり、自信に満ちた連帯感で結ばれたコール・ド・バレエが、精霊として舞台に存在するようになっていった。

コール・ド・バレエはソリストの役を貰うと、また違った輝きを見せる。
マヌーでは、着実な技術できっちり踊るオーバーヌ・フィルベールとコミカルな目の表情で柔らかい空気を運ぶマリーヌ・ガニオ、影のソリスト役では、サラ=コラ・ダヤノヴァとエロイーズ・ブルドンの安定感が目立った。
中でも、マティルド・フルステとシャルリーヌ・ジザンダネは群を抜いている。2人とも、第2幕のパ・ダクシヨンのソリスト、マヌー、影の第2ヴァリアシヨン(ヌレエフ版の第2ヴァリアシヨンは、通常のヴァージョンの第1ヴァリアシヨンにあたる)を日替わりで演じたが、どの役も、毎回完璧で隙がない。テクニシャンで細身。首の使い方、ポール・ド・ブラの美しさはそっくりで、対称の位置で踊っていたパ・ダクシヨンのパ・ド・カトルでは、まるで双子のようだった。もし、ヌレエフが存命していたら、確かな技術と登場しただけで劇場を一変させるスター性を備えた2人を放っておくはずはなく、ニキヤとガムザッティに抜擢しただろう。
男性コール・ド・バレエでは、修行僧役のアリステ・マダンとサミュエル・ミュレがそれぞれ独自の持ち味を見せて、競演した。マダンは得意の高いジュテで場を湧かせ、ミュレは技術もさることながら、小道具の使い方を工夫して大柄の身体をさらに大きく見せていた。振付家でもあるミュレのマイムは分かりやすく、ソロルやニキヤとの会話は、マイムの知識がない観客でも意味を理解できたはずだ。
そして、何といってもフロリモン・ロリューだ。毎公演、ソロルの8人の友人のうちの1人として、切れのいい足捌きを見せていた彼は、1回だけ黄金の像役に抜擢された。
ヴァリアシヨンの冒頭、ポーズをした途端に、客席のあちこちでどよめきが起こった。腕をいい按配の角度にしならせ、右脚をクロワゼ・ドゥヴァンに上げながら、音が鳴るまでびくともせずにルルヴェで立ち続ける姿が、まさに仏像なのだ。そのポーズから繰り出される滞空時間の長いジュテでは、全く音をさせずに片足で着地し、トゥール・アン・ナティテュードでは美しい形を保ち続けながら、余裕で3回転をしてみせる。完璧なヴァリアシヨンの前半は神秘性を醸し出し、このままいけばマティアス・エイマンのヴァリアシヨンに匹敵するかもしれないと期待して見守ったが、惜しいことに最後のマネージュで少々失速してしまった。傾斜しているガルニエの八百屋舞台で、奥から手前に進むことになるマネ-ジュの終盤の調整は難しい。跳躍の頂点で静止するバロンを駆使し、非凡な才能を示したマルク・モローも、場所取りと体重移動に失敗して危うくバランスを失いかけ、この役を持ち役にしているベテランのマロリー・ゴディオンでも、1回目は手こずり、2回目でやっと抑制の効いた完璧なヴァリアシヨンを披露したほどだ。だが、非常に柔らかい身体と強靭な筋力という、理想的な身体能力を持つロリューにとって、黄金の像が当たり役であることは十分に証明でき、一躍、現地評に名前が挙がる存在となった。

充実したコール・ド・バレエに支えられて、6組の主演陣はそれぞれに熱演したが、最後に登場したデルフィーヌ・ムッサンとステファン・ビュリョン、ステファニー・ロンベールは、演技的センスが際立っていた。
大柄でがっちりした体格のビュリョンは、外見的にも、踊りの質的にも、勇ましい戦士のソロルそのものだ。彼には出世欲や計算は全くないのだが、お人よしであるがゆえに、2人の女性に翻弄されてぎりぎりまで迷い続ける。婚約式の最中に、ニキヤに責められるとニキヤへの断ち難い情にほだされ、着席を促されてガムザッティの傍らに戻ると、つい彼女に愛想笑いをしてしまう。どう考えても、ニキヤの花籠に蛇を忍ばせた犯人はガムザッティにほかならないのに、彼女が否定すると今一度信じようとまでする。ビュリョンのソロルはニキヤの死後まで、真に愛している人に気づかないのだ。個性溢れるエトワールがアクの強いソロルを披露する中、ビュリョンは逆方向からアプローチして極めて純粋なソロルを作り上げた。
彼の感性の鋭さはマイムにも現れている。以前から彼は、現代的にマイムを使うことに挑戦していたが、『ジゼル』のアルブレヒトでは齟齬が生じ、失敗に終わっていた。しかし、ヌレエフ版のソロルでは素晴らしい効果を発揮した。3幕の冒頭、懺悔するソロルの前に、ニキヤが現れる。精霊となったニキヤはソロルには見えず、彼女は姿を消す前に、息を吹きかけソロルにその存在を示す。ここで大概のソロルはニキヤの気配を感じるだけなのだが、ビュリョンの目はニキヤの姿を確実に捉えていた。愛している、あなたを、とはっきりと、ニキヤを指し示すのだ。
技術的には、ところどころに小さなミスがあったものの、素晴らしいマイムと演技力に裏付けられたソロルの前では些細なことで、全く気にならなかった。これだけのソロルならば昇格するだろうと思ったところ、案の定、4日後、6月2日の終演後に、ビュリョンはエトワールに昇格した。
彼の昇格には相手役がムッサンであったことも大きい。大作で組むのは初めてだが、なぜ今まで組まなかったのかと疑問に思うほど、相性がいい。2人とも派手さはないが、パの1つにも意味を持たせる堅実な演技派だ。
長年ニキヤ役を踊り続けているムッサンは、大僧正に呼ばれて歩いてくるだけで神秘性を帯びる。巫女は、聖なる火の前でソロルの姿を見るなり1人の女性に変化する。祭礼の踊りの時には、巫女、ガムザッティとの争いでは女性、と2つの顔を巧みに使い分けるムッサンのニキヤはやがて、女の情念にがんじがらめになる。2幕の終盤、ソロルに何度も真実を問い正す場面は極めて秀逸。ソロルの方にパ・ド・ブレで近寄りながら、上げていた腕を急にガクンと降ろしたり、ガムザッティの手をソロルが取ったことを、目を見開いてきっちりと確認してから、解毒剤を落としたりと、ニキヤの絶望を5階席の観客でも感じ取れるように大きく分かりやすく表現した。
ただ、3幕の<影の王国>は期待通りにはいかなかった。1、2幕ではほぼ完璧だったムッサンだが、パ・ド・ドゥはともかく、ヴァリアシヨンで自滅してしまった。リハーサルでは完璧だったトゥール・アン・ナラベスクの連続が1つも出来ず、そのあとも尾を引いて、ヴァリアシヨンの見せ場を全く生かせなかった。『ラ・バヤデール』には各自の解釈で自由に踊れる1、2幕と、3幕のバレエ・ブランを完全に切り替えなければならない難しさがある。今まで、ムッサンは十分にこなせていたのだが…。
ロンベールのガムザッティはお人よしのビュリョンを威勢よく押しまくり、健気なムッサンを攻撃して復讐を誓う。ご令嬢というよりは気風のいい姉御なのだが、その分迫力は満点だ。1幕2場で、ニキヤとの対決で見せる気迫は、5人のガムザッティの中で一番恐ろしく、悪女そのものだった。
しかし、技術的には破綻していた。元々クラシックが不得手な彼女であるが、あろうことか、20回、もしくは21回続けなければならないグラン・フェッテを11回で止め、改めてピルエットをし直してポーズをとり、かろうじて音楽に合わせるという重大なミスを犯してしまった。軸がずれたフェッテを続けるものほど見苦しいものはないから、途中で止めるのは潔いが、物語のリアリティを一気に削いだ。ここでのフェッテは『白鳥の湖』の黒鳥と同じ、重要な意味を持つ。ガムザッティはソロルの中のニキヤを一掃し、完全に彼を手中に収めなければならないのに、あの不安定なフェッテでは彼がガムザッティに魅了されるどころか、引いてしまうではないか。何度も踊っているだけに、ガムザッティは技術がものを言う役だと重々承知しているはずだ。なのに、オペラ座のプルミエール・ダンスーズの地位にいるダンサーとは思えない技術力を露呈してしまった。
他日のガムザッティ役、メラニー・ユレルにも同じことが言える。庶民的で愛らしいガムザッティが、ソロルが絡むと悪女になるという変身具合がとても面白かったのだが、ヴァリアシヨンや、フェッテのここぞという盛り上がりに限って、小さいミスを連発してしまう。このところ、演技力に磨きがかかっているが、なかなかエトワールに昇格できない理由は、この技術不足にあるのだろう。

初日を飾った黄金コンビ、アニエス・ルテステュとジョゼ・マルティネスにも、技術的な壁が立ちはだかった。
2回目の5月25日、1幕でリフトのタイミングを外し、ルテステュは真上に上がりきれなかった。2幕ではマルティネスがヴァリアシヨンで危うくバランスを崩しそうになり、3幕ではルテステュが精彩を欠いた。パ・ド・ドゥでいつもの毅然とした自信が窺えず、ヴァリアシヨンでも常に不安定感がつきまとい、彼女にしてはバランスを保つ時間が短いのだ。ルテステュが右足を痛めていて万全ではなかったことを考えると立派な出来だが、強靭な技術力を持つ、この2人のどこをとっても完璧な『ラ・バヤデール』を何度も観ている身としては、25日の公演は、2人の真価が発揮されたとは到底言い難い。
だが、2人の立て直しは素早かった。3回目の27日には、ルテステュは、適度に難度を落として、綺麗に美しく3幕をまとめ、本来の彼女の姿を取り戻していた。そして、1、2幕は過去最高の出来。水がめを肩に載せてソロルを探すソロにしても、ちょっとした仕草に工夫を凝らしている。振付では、上手に向かってアラベスクで立つと同時に首も上手側に動かすのだが、彼女は、身体は下手側に向けたまま、首だけを上手方向に動かす。先に首を上手側に動かしてから、アラベスクで立つのだ。こうすると首の動きが目立ち、ソロルを探していることが一目瞭然になる。ソロルの裏切りを知って嘆く時も、パ・ド・ブレをしながら目でソロルに訴えたかと思えば、突然パ・ド・ブレを止め、歩いてソロルに近寄る。そして、ソロルがガムザッティの手を取るなり、耐えきれなくなって逃げ出してしまう。
ルテステュのパや行動は全て、振付通りで何一つ変わらない。彼女が変えたのはパとパの間。振付のちょっとしたタイミングを変えることによって、演技と動作を完全に一体化させ、パそのものからドラマを匂い立たせるのだ。だから、結末を熟知していても、次の行動が気になって、ニキヤに釘付けになってしまう。
緩急自在にパを操り、技術に頼りがちな古典作品をここまで劇的に仕上げたルテステュのニキヤは、以前とは、次元の違う域に達していた。
マルティネスのソロルはあまり物事を深く考えない。その場その場で言い繕って、気がついた時にはニキヤを死なせてしまっている。彼のソロルは、経験が乏しい若さゆえに間違いを犯すのだ。
自由自在な技術も、若々しい。段々と速度を落として最後までルルヴェで立っている美しいピルエットにしても、切れのあるマネージュにしても、3幕冒頭の<ダンサー殺し>のソロにしても、パと戯れているかのように、簡単にやってのける。バランスの自在さは相変わらず群を抜いており、ランブルセの過程の美しさはバレエの教本をみているようだった。41歳のマルティネスには年齢からくる衰えはなく、細身、長身の容姿は20代の頃とほとんど同じ。技術の冴えは変わらないどころか、ますます向上していて、パの1つ1つを丁寧に、基本に忠実にこなすことで、重厚感を加えているのだ。
42歳のオペラ座の引退年齢も、彼には関係ないのも当然の帰結。先ごろ、来シーズンの最後を締め括る自身の振付作品『天井桟敷の人々』で引退公演を行う、とフィガロ紙に掲載されたがこれは事実ではない。本人がすぐさま否定し、少なくとも2011-2012年シーズンまではオペラ座で踊ることが決まっていると公言している。彼の動向にやきもきしていた皆さん、ご安心を。

技術的に何の問題もなかったのは、全員初役に挑むことになった第5キャストのドロテ・ジルベール、マティアス・エイマン、リュドミラ・パリエロの若手3人である。
快進撃を続けているパリエロのガムザッティは、おっとりとした育ちのいいお嬢様だ。初主役を務めた『天井桟敷の人々』のギャランス役を見逃したため、彼女の演技力については未知数だったが、なかなかのものだった。ジルベールやコゼットのように強烈な印象を残すまでには至らないが、難なく技術をこなす余裕が、野心があっても落ち着きを忘れない上流階級の物腰を思わせ、テクニシャンの彼女らしいガムザッティを造形した。
第2キャストでガムザッティを演じたジルベールの初のニキヤ役は、幕ごとのコントラストがいい。冒頭ではひたむきにソロルを愛し、2幕でソロルの裏切りが決定的なものになると巫女の立場をすっかり忘れて、女としての情念に駆られる。そして3幕では無の境地に至るのだ。
2幕の終盤は彼女の独壇場だった。ソロルの婚約を目の当たりにすると、もともと大きい目をさらに見開いてヴェールを放り投げ、しなやかに反る。身体の中から悲しみを絞り出すように叫び、喚いて、ソロルを責め立てるものの、彼への深い愛情は捨て切れずに苦しむ。舞台脇では、パリエロがエイマンに色目を使い、エイマンは2人の女性の狭間で揺れ動いていたが、ジルベールの慟哭に全て呑み込まれてしまっていた。
嘆きのヴァリアシヨンは2つのパートに分かれ、テンポも変わる。前半のゆったりしたテンポをひきずり、花籠を手にして以後の早いテンポの曲調に乗り切れないダンサーもいたが、音楽性に秀でるジルベールはこの部分の切り替えも万全だ。
彼女は、演劇的にも、技術的にもバランス感覚に優れている。実は右脚のアン・ドゥールに不十分なところがあるのだが、人一倍の集中力と全身の筋肉のコントロールで欠点を補い、ずば抜けた安定感を身につけた。その安定感は3幕のアダージュ、ヴァリアシヨンで存分に生かされ、全く足音をさせずに精霊となったニキヤを完璧に表現した。
1幕の巫女としての神々しさはもう一歩のところがあったが、初役としては素晴らしい出来栄えで、このまま踊り込んでいけば、ニキヤは彼女の代表作の1つになるだろう。
ジルベールの一途な愛を受け止めたのは、エイマンだ。ソロル役は予想通り、彼の当たり役だった。
出だしのグラン・パ・ド・シャから拍手が湧き上がる。どこにも力みがかかっていない彼の高いジュテは柔らかに空中を漂う理想的なものだ。2幕のアダージュでも、女性のサポート役にまわっていた彼が、ひとたび踊り始めると、たとえそれがどんなに小さいジュテであっても、観客の視線を一気に集めてしまう。

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他の5人のソロルが手こずったヴァリアシヨンも、エイマンはただ一人完璧に踊り切った。ヌレエフ版の2幕のヴァリアシヨンの難度は異常なまでに高い。最後のマネージュもきついが、中盤のピルエットが最も厄介だ。ピルエット・アン・ドゥダンの回転の終わりで、軸足はルルヴェで立ったまま、ルティレしているもう片方の脚を後方に出してアラベスクのポーズをとり、またピルエットを続ける。かつてのローラン・イレールやマニュエル・ルグリ、そしてマルティネスでさえ苦戦していたピルエットの変形を、エイマンは物ともせずにやってのけた。彼の美しいアラベスクのラインを見て、これがヌレエフが意図していた振付だった、と初めて理解した次第だ。
技術を前面に出したエイマンのソロルは、22歳の今しか踊れない、若さと勢いに溢れている。ニキヤやラジャとのやり取りから深みのある演技が立ち上るわけではないが、一連のエイマンを観ていると、血気盛んな戦士が若さに任せて突っ走った結果、2人の女性を惑わせ、悲劇を生んだ図が自然と浮かび上がって来る。技術を積み重ねることによって、物語にリアリティを持たせようとしたヌレエフの狙いが、現在のエイマンに、ぴたっとあてはまったのだ。

次の『ラ・バヤデール』の再演は、恐らく3、4シーズン後。その頃には、ジルベール、エイマン、パリエロの3人はバレエ団の顔となっており、さらに濃密な演技を見せてくれることは間違いない。そして、ロリュー、ジザンダネ、フルステは、少なくとも1回は主演陣に名を連ねることになるだろう。
そう確信できるほどに、今回の『ラ・バヤデール』の公演では、ベテランの熱演の狭間に、瑞々しい若手の疾風が吹き込んでいた。
(2010年5月25日、26日、27日、28日、29日マチネ、ソワレ パリ・オペラ座ガルニエ宮)

『ラ・バヤデール』La Bayadère 全3幕
台本:マリウス・プティパ、セルゲイ・クデコフ
音楽:ルドヴィク・ミンクス
編曲:ジョン・ランチベリー 
演出、振付 : ルドルフ・ヌレエフ
原振付:マリウス・プティパ 
装置:エツィオ・フリジェリオ 
衣裳:フランカ・スカルチャーピノ
照明:ヴィニチオ・チェリ

オーケストラ:コロンヌ管弦楽団 指揮:ケヴィン・ロデ

メートル・ド・バレエ、舞踊監督補:パトリス・バール
メートル・ド・バレエ:ローラン・イレール、クロティルド・ヴァイエ
アシスタント・メートル・ド・バレエ:リオネル・ドラノエ
リハーサル協力:フローランス・クレ-ル、ギレーヌ・テスマー、ジャン=ギョーム・バール、ヴェロニク・ドワノー、エリック・カミヨ

『ラ・バヤデール』の初演:1877年2月4日。ロシア、サンクト=ペテルブルク大劇場。
『ラ・バヤデール』の<影の王国>、パリ・オペラ座での初演:1961年5月19日。キーロフ・バレエのツアーの際、亡命直前のヌレエフのソロル役により<影の王
国>がパレ・ガルニエで初めて披露された。
ヌレエフ振付『ラ・バヤデール』の<影の王国>*、パリ・オペラ座での初演:1974年10月13日。ヌレエフ振付による『ラ・バヤデール』の<影の王国>*が、彼自身のソロル役とノエラ・ポントワのニキヤ役で、披露される。
ヌレエフ演出、振付の全幕版『ラ・バヤデール』のパリ・オペラ座初演:1992年10月8日。
* 1963年11月27日に初演されたロイヤル・バレエでの、ヌレエフ振付のものの再演。

Photos Sébastien Mathé / Opéra national de Paris
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