ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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三光 洋 Text by Hiroshi Sanko 
[2009.05.11]

プティ『プルーストあるいは心情の間欠』、マリー・シュイナール、ピーピング・トム他が登場

BALLET de l’OPERA de Paris
パリ国立オペラ座バレエ
John Cranko « Onéguine » ジョン・クランコ『オネーギン』

  • オネーギン:ニコラ・ル・リッシュ/マニュエル・ルグリ/ホセ・マルティネーズ/エルヴェ・モロー
  • タティアナ:オーレリー・デュポン/ドロテ・ジルベール/クレール=マリ・オスタ/イザベル・シャラヴォワ
  • レンスキー:バンジャマン・ペッシュ/マチアス・エイマン/オードリック・ブザール/フロリアン・マニュネ
  • オリガ:ミリアム・ウルド=ブラアム/エヴ・グリンスタイン/ミュリエル・ズスペルギ/マチルド・フルーステ
  • グレミン侯爵:クリストフ・デュケンヌ/カール・パケット/ニコラ・ポール/ヴァンサン・コルディエ

5月15日公演を最後にエトワールのマニュエル・ルグリが引退する。当日はパリ国立オペラ座バレエ団全員による「デフィレ」が『オネーギン』の前に行われる。
4月16日にエトワールに昇格した、シャラヴォラは5月14日にタチアナを踊り、エイマンは5月11・12・15・18・20日にレンスキーで出演する予定となっている。 
5月11・12・14・15・18・19・20日 19時30分開演 

BALLET de l’OPERA de Paris
パリ国立オペラ座バレエ

Emanuel Gat エマニュエル・ガット « Hark ! » (お聞き!)
Nacho Duato ナチョ・デュアト « White Darkness »(白い闇)
Angelin Prejocaj アンジェラン・プレヨカーユ « MC14/22 « Ceci est mon corps » (これは私の身体だ) 

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« Hark ! » (お聞き!)世界初演

  • 音楽ジョン・ダーランド
  • 振付・衣裳・照明 エマニュエル・ガット


« White Darkness »(白い闇)

  • 音楽 カール・ジェンキンズ
  • 振付 ナチョ・デュアト
  • 装置 ジャファー・シャルビ
  • 衣装 ルルド・フリアス
  • 照明 ジョート・カボールト

 
 « MC14/22 « Ceci est mon corps » (これは私の身体だ)

  • 音のクリエーション テッド・ザマル
  • 振付 アンジェラン・プレヨカーユ
  • 衣装 ダニエル・ジャジアク
  • 照明 パトリック・リュー
  • パリ国立オペラ座バレエ団
  • 音楽は録音を使用

アンジェラン・プレヨカーユは『MC14/22 これは私の肉体だ』で暴力、過剰と優しさの間にある裸で虐待される身体の物理的な可能性を追求している。これに対し、イスラエルの振付家エマニュエル・ガットはパリ国立オペラの女性ダンサーのための創作を発表する。抽象的なフォルムを通じて、エリザベス朝時代のリュート奏者で作曲家だったジョン・ダウランドの音楽のメランコリックな旋律とガットのダンスは一体となる。マチョ・デュアトは麻薬が引き起こす曖昧な感覚を繊細に描いている。魅惑が依存となり、闘争が放棄へと変わっていく。音楽との密接な関係、視覚的な美の探究という点でこの三人の振付家は一致している。それぞれがその気質に応じて、エネルギーと官能、ヴィルチュオーズの刻印を押された動きを通じて、日常の詳細なことを繊細かつリアルに観察しとらえたものを表現している。 
5月13日 19時30分 5月16日は14時30分と19時30分の二回公演 5月17日は14時30分 

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BALLET de l’OPERA de Paris
パリ国立オペラ座バレエ
Roland Petit « Proust ou les intermittences du coeur »:ローラン・プティ『プルーストあるいは心情の間欠』(『失われた時を求めて』) 

  • 音楽 べートーヴェン、ドビュッシー、フォーレ、フランク、ハーン、サン=サーンス、ワグナー
  • 振付・演出 ローラン・プティ
  • 装置 ベルナール・ミッシェル
  • 衣装 ルイザ・スピナテッリ
  • 照明 ジャン・ミッシェル・デジレ
  • パリ国立オペラ座バレエ団 
  • コーン・ケッセルズ指揮パリ国立オペラ管弦楽団 

マルセル・プルーストは小説『失われた時を求めて』により第1次世界大戦前にあったゆったりした社交人士たちの世界を描いた。ローラン・プティはこの小説のバレエ版を作るのではなく、プルーストの語り口をいくつかの面から切り取っている。ちょっとした色彩、ほのかな香り、陰影のある印象といった固定できないものを瞬間的にとらえようと試みている。
メランコリー、社交生活の空しさ、有力者たちの滑稽さと悪徳、青春期の愛情の和やかさ、嫉妬という奇妙な苦悩、過去へのこだわり。こうした瞬間をコンテキストからすっかり外して取り出してきているために、観客はプルーストの小説を読まなくても、このバレエの世界を楽しむことができる。
プルーストの長口舌とは一味違う断片によって、その幸福と不幸の核にふれることができよう。死の近づいたプルーストが何よりも愛したのは友人の音楽家たちの演奏だった。プティはプルースト好みの音楽をふんだんに取り入れて、バレエによる読み物を作り上げている。
プルミエ5月27日。5月28・29・30日 6月1・2・3・4・5・6・8日 開演時間はいずれも19時30分
 
 
THEATRE de La Ville パリ市立劇場
Marie Chouinard « Orphée et Eurydice »  creation
マリー・シュイナール『オルフェウスとエウリディケ』

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ケベックのダンサーで振付家であるマリー・シュイナールは1978年の最初のソロ作品『結晶化』以来、三十年以上にわたって自分ではコントロールできない突飛な動きを舞台にのせてきた。クラシック・バレエを学んだ後、シュイナールはアカデミックなテクニックの殻を壊して直観的な肉体を取り戻そうと試みてきた。身体を知悉した自分のダンスの秘訣を彼女は他のダンサーたちに伝えてきている。こうした個人的な試みと並行して、シュイナールはドビッシーの音楽を使った『牧神の午後』(1987年)やストラヴィンスキーの『春の祭典』(1993年)といった作品の再解釈を進めてきた。彼女の新作『オルフェウスとエウリディケ』はルイ・デュフォールのオリジナル音楽を使い、人間の底に横たわる獣性をえぐりだす。
5月12日から19日
 
 THEATRE de La Ville パリ市立劇場
Peeping Tom  Trilogie 1er« Le Jardin » 2e « Le Salon » 3e « Le Sous-sol »
ピーピング・トム 三部作 第1プログラム「ガーデン」 第2プログラム「サロン」 第3プログラム「土の下」

ピーピング・トムは斜に構えて世界を観察している。この劇団は1999年にアルゼンチンのガブリエラ・カリーゾとフランスのフランク・シャルチエが出会って結成した。ブリュッセルに拠点を置き、「のぞき」を人間の内部をとらえるための方法として正面から取り入れている。
「ガーデン」5月18日から20日 「サロン」5月22日から25日 「土の下」5月28日から30日
 
THEATRE de La Ville パリ市立劇場
Meg Stuart  Création 2009
メグ・スチュアート 2009年の世界初演作品

 5月26日から30日
 
THEATRE de La Ville パリ市立劇場
Salia Sanou  Seydou Boro  « Poussières de sang »  création
サリア・サヌーアンドセドゥー・ボロ『血の埃』世界初演

アフリカのブルキナファソからやってくるアフリカコンテンポラリーダンス。
6月2日から6日

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