ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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渡辺真弓 text by Mayumi Watanabe 
[2006.06.10]

パリ・オペラ座でガロッタ振付『ノスフェラチュ』再演

 ジャン=クロード・ガロッタが、吸血鬼をテーマに、2001年、オペラ座のために振付けた『ノスフェラチュ』が5年ぶりにパリ・オペラ座バスティーユで再演された(5月6~13日)。

音楽は、パスカル・デュサパン作曲の『EXTENSO』に始まり、『WATT』『CELO』『APEX』と続く4曲で、ベルンハルト・コンタルフスキー 指揮のパリ・オペラ座管がピットに入って演奏するという、オペラ座としては力を注いだ公演には違いなかっただろうが、新たな印象を残すには至らなかった。

日本の寺院の境内をほうふつとさせる、太い柱で囲まれた舞台に、ふとニコラ・ル・リッシュの『カリギュラ』の舞台が思い出されたが、装置家は同じダニエル・ジャンヌトーである。 
薄暗い舞台に、吸血鬼をほうふつとさせるジョゼ・マルティネズが忽然と現れ、長髪を振り乱して舞台を徘徊するところから、作品は始まる。劇的要素が薄 く、ほとんど抽象的なダンスで構成されているため、マルティネズの存在や性格が不明瞭で、せっかく雰囲気が出ているところ、山場がないので、発展なく終 わってしまうのが惜しい。


 最後に、コール・ド・バレエが全員倒れ、マルティネズとジュリエット・ジェルネズのみが残る。ガロッタは、現代のドラキュラを通して何を言いたかったのだろうか。最後まで謎めいた印象を残して作品の幕は降りる。
 しかし、ソリストはなかなかぜいたくだった。ミテキ・クドー、アリス・ルナヴァン、ジル・イゾアール、キム・ヨンゴルらがそれぞれが個性的で、速いシェネなどの動きがきりきりと暗い舞台に映える。ダンサーの健闘をたたえたい。

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