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渡辺真弓 text by Mayumi Watanabe 
[2006.01.10]

パリ・オペラ座バレエ進級試験の結果

 パリ・オペラ座のコール・ド・バレエの進級試験は、12月22、23の両日、ガルニエで行われた。例年1日で行うところ、今年は初めて2日間に分けたが、ほぼ連日ガルニエとバスティーユ両会場で公演があるというダンサーたちの過密スケジュールを考慮したものと思われる。
 今回は、女性40名、男性33名が受け、15人が進級を果たした。
結果は次の通り:

プルミエール・ダンスーズ ミリアム・ウルド=ブラーム(23歳)
ドロテ・ジルベール(22歳)
スジェ(女性) ローラ・エケ(21歳)
マチルド・フルステー(20歳)
アリス・ルナヴァン(25歳)
エヴ・グリンスタイン(24歳)
コリフェ(女性) クリステル・グラニエ(26歳)
ロレーヌ・レヴィ(21歳)
シャルロット・ランソン(20歳)
セリーヌ・パラシオ(33歳)

 

プルミエ・ダンスール ステファン・ファヴォラン(34歳)
スジェ(男性) キム・ヨンゴル(32歳)
コリフェ(男性) アドリアン・ボデ(24歳)
オードリック・ブザール(23歳)
マチアス・エマン(18歳)


 今回の課題曲は、全体に技術的に難しいものが目立った。例えば、女性カドリーユには『ドン・キホーテ』から第2幕のドルシネア姫、女性コリフェには、 『ライモンダ』第1幕のライモンダのピチカッティ、女性スジェには、『ロミオとジュリエット』第1幕のジュリエット、男性カドリーユには、『ドン・キホー テ』第3幕のバジルと、ここまでがすべてヌレエフのバレエからのヴァリエーション。男性コリフェには、リファール振付『白の組曲』からマズルカ、男性ス ジェには、マクミラン振付『マノン』第2幕よりデ・グリューのヴァリエーションが課せられた。このような選曲だと、技術の有無あるいは役柄の適不適によっ て、出来映えがはっきりと分かってしまう。
 審査員は、モルティエ総監督、ルフェーヴル舞踊監督に、メートル・ド・バレエのバール、ヴァイエらの他、バレエ団員から6名、それに外部からリード・アンダーソン、エリック・ヴュ=アンを加えた12名で構成。


ミリアム・ウルド=ブラーム

ドロテ・ジルベール

ステファン・ファヴォラン


 注目のプルミエール・ダンスーズは共に文句なしの昇進。ウルド=ブラームは、課題曲で可憐なジュリエットを、自由曲でガムザッティを完璧なテクニックで 踊ったのに対し、ジルベールは、叙情的なジュリエットとエキゾティックなカルメンを踊り、好対照の二人であった。
 プルミエは、エトワールの代役などで実績のあるフロリアン・マニュネか、若手ノーブルのジョシュア・オファルトが有力視されていたが、オペラ座当局が選 んだのは、ベテラン、ファヴォランだった。デ・グリューのソロが会心の出来で、自由曲のプティ振付『オペラ座の怪人』での異色のキャラクターが評価された のだろう。2位から6位では、風格あるクリストフ・デュケンヌ、モンタルヴォの『ル・リール・ド・ラ・リール』を自在に踊ったニコラ・ポール、『エスメラ ルダ』で確実なテクニックを見せたジル・イゾアール、ノーブルなオファルトなど全員を上げてあげたいくらいの接戦だった。ただ、デ・グリューと『アルルの 女』を見事に踊り分けたジュリアン・メザンディが6位以内に入らなかったのは残念だ。


ローラ・エケ

マチルド・フルステー

キム・ヨンゴル


 スジェに昇進した5人も有望株で、エスメラルダで大器ぶりを示したエケ、ニキヤを好演したフルステーには、将来のエトワールとしての資質が感じられた。 ルナヴァンは、リファール振付『レ・ミラージュ』で、グリンスタインは『マノン』で、優れた表現力を見せた。韓国人のキムは、フランス人にはないパワーが 買われたようだ。
 最も人数の多いカドリーユのクラスには、男女とも特に傑出した人は見られなかったが、昨年、ピナ・バウシュ振付『オルフェオとエウリディーチェ』のア ムールに抜擢され、今回自由曲のベジャール振付『アレポ』でアピールしたランソン、『マルコ・スパダ』を軽やかに踊ったエマンなどが将来性を感じさせた。 また進級を逃したものの、エマンと同期入団のオーバン・フィルベールが、初めての試験で難曲『グラン・パ・クラシック』を優雅に踊り、才能を垣間見せた。