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渡辺真弓 text by Mayumi Watanabe 
[2005.10.10]

●ルシア・ラカッラの魅力が全開!

シャンゼリゼ劇場の牧阿佐美バレエ団『ピンク・フロイド・バレエ』と<21世紀のエトワールたち>


  パリのダンス・シーズンの皮切りとなったのは、牧阿佐美バレエ団の来演。プティの70年代の代表作『ピンク・フロイド・バレエ』を携えて、9月9、10日 の2日間シャンゼリゼ劇場を満席にした。2004年に日本で上演され、この10月にもヨーロッパ・ツァー凱旋公演が予定されているが、パリ公演の反響は新 聞評も上々で、非常な成功といえよう。

 まず公演の白眉だったのは、ゲストのルシア・ラカッラ。レモンド・レベックやシリル・ピエールとデュオを踊ったラカッラは、ベジャールの『ルナ』を想起 させるような神々しさをたたえ、出演者の中でもひときわ大きな喝采を浴びた。アルタンフヤグ・ドゥガラー、菊地研、草刈民代らのソリストの熱演に加え、若 いコール・ド・バレエの整然とした東洋を感じさせるアンサンブルにも盛んに拍手が送られていた。

 それから一週間後の<21世紀のエトワールたち>公演(9月16ー18日)でも、ラカッラは別格だった。この催しは、今年で7回目を迎えるが、あたかも 常連のラカッラのために企画されたもののような感がある。今回披露されたのは、プティ振付の『プルースト』より”とらわれの女”と『タイス』の2曲で、 パートナーはいずれもピエール。息の合ったパ・ド・ドゥに客席はうっとり。

 この公演には、ラカッラたちを含め、6組のスターたちが世界から集い、妙技を競った。ABTからはウクライナ出身のペア、イリーナ・ドヴォロヴェンコと マキシム・ベロツェロコフスキー、サンフランシスコ・バレエからはキューバ人ペア、ホルナ・フェイホとホアン・ボアダが参加、前者は『パキータ』と『海 賊』、後者はヴァル・カニパロリ振付のエスニックな『ランバレナ』と『ドン・キホーテ』で妙技を競い、会場を沸かせた。ロイヤル・バレエから参加したゼナ イダ・ヤノフスキーとフェデリコ・ボネッリはアシュトンの『シルヴィア』と『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』を踊り、特にボネッリの品格ある踊りがア ピールした。若手では、シュツットガルトのアリシア・アマトリアンとジェイソン・レイリーが『眠れる森の美女』とシュプックのパロディ・バレエ『ル・グラ ン・パ・ド・ドゥ』を見せ、特に後者が笑いを誘って受けていた。ブカレスト・バレエ団のコリナ・ドゥミトレスクとオヴィディウ・マテイ・ヤンクはバブスカ 振付『パラディオ』と『ラ・バヤデール』で清新なパリ・デビューを果たした。

 このバレエ・コンサート恒例のフィナーレでは、各人がヴィルチュオーゾ的テクニックを競い合い、最後まで観客を興奮させてくれた。なお公演の模様は、収録され、年末年始にテレビで放映される予定だ。