[2004.10.10]
[ 韓国 ]

ソウルでバレエ・ガラを見る

 「ソウルでバレエを見る」のは、なかなか楽しい。特に、東京以外に住んでいて「東京にバレエを見に行く」ことがある人には絶対お勧め。ソウルへは、いまや全国各地から直行便が飛んでいて、飛行時間は東京に行くのと、そう変わらない。ホテル代も含めた旅費は、東京旅行よりリーズナブル(シーズンにもよりますが)。時差がないので一泊でもラクラク。もちろん、韓国国立バレエ団やユニバーサル・バレエ団など韓国のバレエを見るのもいいが、海外のバレエ団ソウル公演やガラ公演も狙い目。 8月7、8日(所見は7日)にソウル・アーツセンター・オペラハウスで行われた「ワールド・バレエ・スター・ガラ」は、まさに「ソウルに来た甲斐があった!」と思えた公演だった。

出演者の顔ぶれは豪華。ルシア・ラカッラ&シリル・ピエール(ミュンヘン・バレエ)、アリーナ・コジョカル&ヨハン・コボー(ロイヤル・バレエ)、ジオマラ・レイエス&ホセ・カレーニョ(ABT)、ジン・ヤオ(中国中央バレエ)&ヨエル・カレーニョ(ホセの弟。キューバ国立)、ソフィアン・シルヴィ(NYCB)&タマス・ソリモジ(オランダ国立)、ドミトリー&ダニエル・シムキン親子と、「ワールド・バレエ・スター」という看板に(ほぼ)偽りはなかった。


『白鳥の湖』

『白鳥の湖』

『ドン・キホーテ』


なかでも素晴らしかったのはラカッラ。第一部で彼女が踊ったのは『白鳥の湖』の第2幕グラン・アダージォ。よく、しなる身体は雄弁だ。甲の高い美しい脚はもちろん、腕や背中も柔軟。すべてのパーツがそれぞれ自我をもちながら、全体に流れるような動きを見せる。オデット姫の恐怖心が徐々に解け、王子の気持ちを受け入れるまでのドラマが、じつにロマンティックに語られた。王子役のシリル・ピエールの優しいサポートも感動的だった。第2部で踊ったプティ作品の『プルースト』(眠る女を見つめる)は、幻想的に見せていた。

コジョカルも、まさに「旬」の踊りを見せていた。ヨハン・コボーと踊った『ドン・キホーテ』ではテクニックの強さをアピール、アシュトンの『春の声』では、独自の軽やかさと音楽性の豊かさを感じさせた。ホセ・カレーニョのアクテオンは、ノーブルで野生的で、まさに神話の世界。シルヴィ&ソリモジの『コンチェルト・バロッコ』『白鳥の湖』黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥは、ガラ公演自体を引き締めた。
シムキン親子の『マイ・ウェイ』は父の振付。二人とも実力を持つダンサーなので、見ごたえはたっぷり。その上で、ダンサーとして最盛期を過ぎた父と、これからの活躍が期待される息子、それぞれの人生をも垣間見せる。テーマがストレートすぎるような気もしたが、ダンスが始まるとそんな気持ちは吹っ飛んだ。素直に感動できる作品だった。

 


「マイ・ウェイ」

『ディアナとアクテオン』