ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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皆様、こんにちは。ニューヨークは急に暑くなってきました。現在はニューヨーク・シティ・バレエの春の公演期間中で、ABTの公演もスタートしました。バレエ公演が活発になるシーズンの到来です。

『アゴン』『アイム・オールド・ファションド』そしてマクレガーの『アウトライヤー』

New York City Ballet
「3つの小品集」
ニューヨーク・シティー・バレエ
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5月6月の2ヶ月間は、ニューヨーク・シティ・バレエの春の公演期間です。演目は日によって違います。
私は今シーズンが初演の、ウェイン・マクレガー振付の『アウトライヤー』を観るために、5月20日の夜の公演を見ました。その日の演目は3つの小品集でした。
最初の演目は『アゴン』。1975年初演の、ジョージ・バランシン振付、音楽はストラヴィンスキー作曲です。内容は以前こちらのコラムで描写したことがあるため、詳しいことは省きます。
出演したダンサーでプリンシパルはマリア・コウロスキー、セバスチャン・マルコヴィッチ、ソリストはエレン・バール、シーン・スオッジ、サヴァンナ・ロウェリー、テイラー・アングル、クレイグ・ホールです。パート1から3まで3つの場面で構成されています。ソロやパ・ド・ドゥも多くあります。男女ともにレオタードとタイツというシンプルな衣装です。
4名〜8名や、それ以上の人数で踊るところがパート1と3で、グランバットマンで足を左右に交互に振り上げたり、全体的に理路整然とされた踊りで全員がピシッと揃っていました。
見所は多く、振付の基本はクラシックです。
途中、印象に残った振りは、パ・ド・ドゥで女性が男性に支えられながら180度縦に床で開脚を右足前、左足前と持ち上げられながらくりかえしていたところです。
 

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2つ目の演目は冒頭でも書きました5月14日初演の『アウトライヤー』です。音楽はトーマス・アデスです。振付けたウェイン・マクレガーとルーシー・カーターが舞台セットをデザインしました。出演ダンサーは全員がプリンシパルかソリストです。プリンシパルは、アシュリー・ボーダー、スターリング・ヒルティン、マリア・コウロスキー、ウェンディー・ウェラン、ゴンサロ・ガルシア、ホアキン・デ・ルースです。
最初、舞台手前の一面を覆うように大きな透けるスクリーンのようなものが張られていて、その舞台の奥真ん中に一人の女性ダンサーが立っていました。しばらくして舞台に男性ダンサーが走り出てきて、その女性の周りをぐるぐると歩いていました。そして男性は女性の手をとって踊り始め、音楽も鳴り始めました。音楽は変っていて、リズムがないようなゆったりと静かな曲です。女性はトウシューズをはいていますが、振付は全体的にコンテンポラリーに近いもので、変わったものでした。パ・ド・ドゥで、女性はリフトで持ち上げられながら男性の身体にからみついたりしていて、身体の柔らかさとしなやかさが引き立てられていました。
次に手前の薄いスクリーンがだんだん上がっていきました。女性3名、男性2名がでてきて、パ・ド・ドゥ1組と3名とか、パ・ド・ドゥ2組と1名などの組み合わせで踊りが展開していきました。それぞれが全く違う振付で同時に舞台上のばらばらの場所で踊っていたので、いくつものシーンが同時に上映されているような感じでした。
最後はウェンディー・ウェランがリフトされて上で上半身をのけぞらせたままで男性に絡み付いて、上でグルグルと回されながら移動していって舞台袖に消えていきました。

3つ目の作品は、1983年初演のジェローム・ロビン振付『アイム・オールド・ファッションド』です。音楽はジェローム・ケープ作曲のテーマに基づいたモートン・ゴウルドによるものです。これも前に詳しくレポートしたことがありますので内容の多くは省きます。私の好きな作品の一つです。
プリンシパルはジェニファー・リンジャー、サラ・メアンズ、フィリップ・ニールです。全部で6名、3組のペアのダンサーが踊りました。衣装は男女ともに正装で、女性はイブニングドレス、男性もきちんとしたスーツでした。
最初に舞台上の大きなスクリーンに昔の映画の社交ダンスのシーンが映されます。映像の中の見事な社交ダンスです。
舞台上のダンサーたちも映し出された映画の中のように、社交ダンス風の踊りを次々に見せてくれました。クラシック・バレエのダンサーが押さえ気味に社交ダンス風に踊ってみせても、基礎が違うので動きがとでも美しかったです。
全体的にとっても楽しい、明るい作品で、終わったあとはとても気持ちが良い余韻が残りました。
(2010年5月20日夜、リンカーンセンター、デイビッド・H・コッチ・シアター)