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ブルックリンの大コーラス隊の音楽とともにワリー・カルドーナの新作

Wally Cardona / WC4+
ワリー・カルドーナ/ WC4+
Wally Cardona “Really Real”
ワリー・カルドーナ『リアリー・リアル』
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11月17日から21日まで、BAM ハーベイ・シアターで、ワリー・カルドーナ/ WC4+の新作『リアリー・リアル』が上演されました。こちらもBAMの「ネクスト・ウェーブ・フェスティバル」に招聘されていコンテンポラリー・ダンスのカンパニーです。
ニューヨークのジュリアード音楽院でダンスを学んでいるという、ワリー・カルドーナが芸術監督・振付を務めていて、自身もダンサーとして出演しています。

この作品はブルックリン・ユース・コーラスという大所帯のコーラス隊による生のコーラスが音楽として使われていて、とてもよかったです。コーラス隊は客席の一番上のところから歌っていました。彼らは全身黒服を着ていて、最初や最後のほうなどは舞台上に出て簡単な振付で少し動いてパフォーマンスもしていました。
ダンス公演と一言ではジャンル分けできないような、ニューヨークらしい作品でした。演劇の要素も濃かったです。

日本人ダンサーの木村カナもいました。ダンサーは7名ですが、大勢のコーラス隊の人々も一部、最初は舞台上にでてました。そこに男性一人、細身でヒゲをはやしたワリー・カルドーナが立って、ソロで踊り続けました。リズムが一定でなく、感情などを強弱をつけて詩的に表現している様子。ダンスのようなパントマイムのような感じで手足を不規則にバラバラに動かしていました。音楽は無くて、録音のナレーションを流しながら踊っていました。無表情ですが、キレがある動きで、不思議な感じです。独特で個性的な振付で印象深かったです。
彼が踊り続けているときにも、その周りや後ろには20人以上の人物がいて、みんなじっとしていたり、歩いたり立ったり座ったりするだけでしたので、その人々が街中の風景の一部のように見えてきました。彼一人だけが踊って、彼だけの人生で何か起こっていることを表現していました。
 

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その後は女性2人のダンサーが似たような個性的な踊りを続けて、暗かった照明がパッと明るく点いて、3名の男性ダンサーが無表情で同じような踊りをし続けました。男性は、舞台の床に足をたたきつけたり、バタンと大きく音を立てて床にぶつかって倒れたり、ずっと床がドタンバタンと大きく音が鳴っていました。少し痛々しく感じました。

特に女性ダンサーがみんな手足が長く細くてスタイルが綺麗でした。
その後のダンスは、ソロや2〜3名ずつの組み合わせ、あるいは6名の踊りが続き、別々の振付を同時に踊るところもありました。
最後はコーラス隊の大勢の少年少女たちが黒服のままで舞台上に出てきて、どんどん人が増え続けていて、舞台上は立っている人で埋まりました。そこに舞台後方から客席の方向に向ってとても強い照明が照らされ、舞台上の人々に当たって逆光になり、人々も真っ暗に見えました。
“Simebody、ダンサー”という言葉ばかりをずっと彼らは歌い続けていて、その間で男女2名のダンサーが激しく踊ったり、別のペアが踊ったりしていて、逆光でとても見えにくいのですが、綺麗でした。
最後、2人は抱きついて手をつないだまま、ジーッと見つめ合い、コーラスの声と照明が突然消えて終わりました。
今までに観たことがないような不思議な感じの演出作品で、とても面白かったです。
(2009年11月17日夜 BAM ハーベイ・シアター)

Photo:(C)Stephanie Berger
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