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ネクスト・ウェーヴ・フェスティバルのフォーサイス『デクリエーション』

The Forsythe Company
ザ・フォーサイス・カンパニー
A work by William Forsythe "Decreation"
ウィリアム・フォーサイス『デクリエーション』
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10月7日から10日まで、BAMのハワード・ジルマン・オペラ・ハウスにて、ザ フォーサイス・カンパニーの『デクリエーション』の公演が行われました。これは、毎年恒例のNext Wave Festivalのプログラムです。
私が見た公演は、10月8日です。この作品の初演は2003年4月、フランクフルトです。
音楽はデイビッド モローです。
舞台デザインも芸術監督のウィリアム フォーサイスです。フォーサイスはもともとニューヨーク出身で、その後フランクフルト・バレエの芸術監督を1984年から20年間務めました。そして2004年に自身の新しいカンパニーを創りました。フォーサイスはコンテンポラリー・ダンスの旗手として知られ、ニューヨークの公演も平日でも満員でした。
出演ダンサーは18名です。日本人ダンサーの安藤洋子、島地保武がカンパニーのメンバーにいます。白人ダンサーが多いこのカンパニーの中で、彼らは東洋のエキゾティックな存在感を放っていました。
 

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この作品は、途中休憩なしでノンストップの65分間のものです。舞台セットは簡素で現代的な印象で、フォーサイスの他の作品と同様、一つの舞台上にいくつかの場面が同時に重ねられて進行していきました。衣装はシンプルな普段着っぽいものです。
舞台後方には上手に長く大きなテーブルが横向きに置かれ、白いテーブルクロスがかけられていてその上にはビン2本といくつかのグラスが置かれていました。
そのテーブルの左横には箱状の小さなスクリーンが置かれ、そのスクリーンの箱の中に一人ダンサーがいて、動きながらセリフを言っていました。
そのスクリーンには、舞台下手の前でダンサーたちを生で撮影している映像が同時に映されていました。
舞台下手の後方では、キーボードを男性ミュージシャンが生演奏していました。その音は効果音のような不協和音で、メロディやリズムがないものでした。
セリフと演劇の要素も多かったですが、今回の作品はわりあいとダンスの要素、振付が多くダンスファンには見応えがありました。
踊りはすべてスピード感がすごくあり、リズムは一定でなく強弱を大きくつけた動きで迫力があり個性的。独特の振付です。
 

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途中、男性ダンサーの一人が大きな声でオペラかゴスペルのような歌を歌い続けて、上手でしたが、その歌の登場のタイミングや空気で、客席はお笑いして受けていました。
一番印象に残ったシーン、ハイライトは、最後の方で、後ろに置かれていた大きなテーブルと椅子15脚くらいを前に持ってきて、ダンサーたちがそのテーブルを囲んで大勢が椅子に座り、全員が座ったまま手や腕をパチパチならし続けたところです。急に何が起こったかと客席の人々が驚くような演出とタイミングでした。
そのテーブルの上に女性が一人のぼって寝転がったりして苦しみ続けました。テーブルクロスをはがされ、表面には黒い乾いていない塗料が塗られていた様子で、テーブル上で苦しそうに動いている女性の体には黒い汚れがどんどんついていきました。
みんながその女性を囲んで座ったまま、“エー!”っと、とても大声で同時に叫んで、もう一人がテーブルの上でその女性の横に立ち、女性を抱きかかえていました。女性はとてもおびえていました。
男性はテーブルの上に座ったままブツブツ独り言を言い続けていて、突然みんなが去って、照明がパッと消えて終わりました。
この作品は緊張感があり、観客を飽きさせずに引き込んでいく展開が次々にあり、印象深かったです。
(2009年10月8日 BAM ハワード・ジルマン・オペラ・ハウス/Photo:Julieta Cervantes.)