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みなさま、こんにちは。ニューヨークは秋が深まり、一年で一番過ごしやすい心地よい季節です。秋から冬にかけて、ニューヨークでもバレエやダンス公演が活発な時期です。BAMでは現在、毎年恒例の2009 Next Wave Festivalが開催中で、よりすぐりのダンスカンパニーが世界から招聘されています。

シムキンが圧巻だったABT秋のニューヨーク公演小品集

American Ballet Theatre
アメリカン バレエ シアター
Aszure Barton "One of Three" Jerome Robbins "Other Dances"
Benjamin Millpied "Everything Doesn't Happen at Once"
アジュール・バートン『ワン・オブ・スリー』
ジェローム・ロビンズ『アザー・ダンシイズ』
ベンジャミン・ミルピード『エヴィリシング・ダズント・ハップン・アット・ワンス』

10月7日から10日まで、リンカーンセンターのアベリー・フィッシャー・ホールで、アメリカン・バレエ・シアターの公演がありました。これは毎年恒例の秋の公演で、現代的な振付家の作品が上演される小品集です。今年は特に期間が短く、4日間だけでした。
私は10月10日午後2時開演のものを観ましたが、当日の交通事情が悪く、劇場前の駅は地下鉄が停車しなかったため、プログラム2つ目の作品から観ました。週末のニューヨークは地下鉄が工事中になり閉鎖することはよくあります。

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2曲目はアジュール・バートンの振付で『ワン・オブ・スリー』です。音楽はラヴェルで今回が初演でした。作品が始まる前から舞台の幕が開いていて、その舞台上にたくさんのダンサーたちがレオタード姿のままウオームアップをしていました。
クラシック・ベースのコンテンポラリー・ダンスでした。軽やかで早い踊りが中心です。最初は一人,2人と少人数で踊っているところに、だんだんと少しずつ人数が増えて、グループになって踊るというパターンが繰り返されていました。ダンサーたちと空間の使い方がとても上手な振付家だと思います。
踊っていてみんなまとまった瞬間に、横に1列に並んだ時にパッと照明と音楽が突然消えて終わりました。

次の作品は、ジェローム・ロビンズ振付の『アザー・ダンシイズ』です。音楽はショパン。ジリアン・マーフィーとダヴィッド・ハルベルグが踊りました。
衣装は、女性はとても美しいグレー系のシフォンのドレスと、男性はお揃いの色のタイツとシフォンブラウスとベストでした。
振付はバレエですが、モダンな感覚の作品です。それぞれがソロで踊るところもあり、ハルベルグは敏捷でメリハリがある踊り。マーフィーは早く軽やかでした。2人ともとてもメリハリがある表情豊かな踊りでした。
リフトは男性が女性を横にしたままで上に持ち上げて、女性の膝を曲げて男性が抱えたりしていました。最後はリフトで男性の肩の上に女性を上げて終わりました。
 

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4つ目の作品は、ベンジャミン・ミルピードの振付で、『エブリシング・ダズント・ハップン・アット・ワンス』です。これは今回が初演です。音楽はデビッド・ラングです。
イザベラ・ボイルストーン、マルセロ・ゴメスが出演しました。他は大勢のダンサーたちがいました。ダニエル・シムキンも出ていて、ソロもあり目立っていました。
やはりシムキンは振付家からも注目されているのでしょう、いつもの公演の時よりも彼のずば抜けた身体能力を生かした振付を与えられていていました。
バレエの動きを浸かっていますが、演出も振付も現代風で斬新でした。いつも驚きますが、ミルピードは現役のニューヨーク・シティ・バレエのプリンシパル・ダンサーでもあり、同時に注目されている振付家としても活躍しているので、2役を兼ね備えた才能の持ち主だと思います。ミルピードにはとても注目していて、いつも彼自身が出演するニューヨーク・シティ・バレエの公演も楽しみにしています。今後も引き続きレポートしていきます。
最初は舞台上に大勢のダンサーが、上手、下手、後方とコの字型に1列に並んでいました。速いリズムの音楽で、男女数名ずつが次々に踊り、それぞれ重なりながら展開していきました。右回転、左回転が交互に続けられたりします。男女ペアが4組リフトして肩の上に乗せたまま、踊っている最中のままで照明が消えて終わりました。
次のシーンは、女性1人と男性2人のリフトが登場し、また別のもう1組の女性1人と男性2人が、それぞれ舞台上で同時に2組で踊り、次第にかたまり、みんなひとかたまりになって動きました。男女ペアのリフトも美しく,ステキでした。
後半に、シムキンのソロがあり、ピルエットで片足を全くつけずに軽々と7回転をしていたので驚きました。軸がビクともしません。6回転をするバレエダンサーは大勢いますが、7回転はすごいです。写真のシーンのように、その後、シムキンは跳び上がって、大勢にリフトされました。
そしてまた最後の方にシムキンのソロのハイライトがありました。ミルピードもシムキンの才能を認めていて、入団間もない時期から彼の持ち味を発揮させるシーンを用意したのですね。
シムキンのソロは圧巻で、バック宙返りを体を縦向きと横向きのものと2種類を軽々と披露していました。切れ味が鋭い踊り方です。彼の踊りはもはや、バレエという枠を超えている感じです。私自身が見てきたダンサーたちの中では抜きん出ています。まだ若く、身長も低めですが、シムキンは今後の活躍がとても楽しみなダンサーです。
観客もシムキンのソロには圧倒されて、ため息をついて見つめていました。
客席は総立ちで、ブラボーと叫んですごい拍手につつまれました。
(2009年10月10日 アベリー・フィッシャー・ホール
 /Photo: Rosalie O'Connor・Photo: Gene Schiavone)