ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From New York <ニューヨーク>: 最新の記事

From New York <ニューヨーク>: 月別アーカイブ

ABTで16年間プリマとして活躍したアナニアシヴィリの引退公演『白鳥の湖』

American Ballet Theatre
Kevin McKenzie “Swan Lake”
アメリカン・バレエ・シアター
ケヴィン・マッケンジー版『白鳥の湖』

6月27日に、ニーナ・アナニアシヴィリの引退公演『白鳥の湖』を観ました。ニーナは1993年にプリンシパルとしてABTに参加し、16年間ABTの主要な作品を踊り続けてきました。
当日はもちろんソールドアウトで、立見席のすみずみまで超満員でした。
オデット/オディールはニーナ・アナニアシヴィリ、シーグフリート王子はアンヘル・コレーラという最高の組み合わせでした。悪魔ロッドバルトはアイザック・スタッパスとマルセロ・ゴメス、ケヴィン・マッケンジー振付、音楽はチャイコフスキーです。

ny0908b01.jpg

オデット姫が悪魔ロッドバルトに白鳥に変えられてしまった様子を表現したプロローグから物語が始まります。
第1幕はシーグフリート王子の誕生日パーティーのシーン。お祝いに集まった大勢が踊り、コレーラ(シーグフリート)のソロもあって、シェネとピルエットで喝采を浴びていました。
第二幕は、森の湖のシーン。月夜にたくさんの白鳥が登場する幻想的なシーンです。白鳥の群舞が素晴らしく、迫力があってとてもロマンティックでした。
四羽の白鳥の踊りは、ソリストの加治屋百合子、マリア・リチェット、ミスティ・コープランドも踊りました。
王子とオデットが森で出会って踊るアダージオはとても情感がこもっていて素晴らしく、アナニアシヴィリが最後にアラベスクから180度開脚するところは鳥肌が立ちました。

第三幕は舞踏会。スパニッシュダンス、ナポリタン、マズルカなどの踊りが繰り広げられ、悪魔ロッドバルトと黒いチュチュのオディールが登場。紫の衣装を着たロッドバルトは、近くの女性たちを誘って1人、2人、3人、4人と次々にペアで踊りました。キビキビとした激しい踊り方のロットバルトに、客席はすごい拍手でした。
オディールをオデットと見間違えてしまった王子は、オディールとパ・ド・ドゥで踊ります。ゆったり優雅でありながら、やはり黒鳥らしく激しさを秘めたキビキビとした踊りは美しく、すごい拍手でつつまれました。
コレーラは7回転連続のピルエットなどをし、続けてアナニアシヴィリがゆったりと、それでいて激しく連続のピルエットやシェネで何周も大きく回りました。コレーラが大ジャンプ披露、アナニアシヴィリの32回転のグランフェッテ、そして11回転のピルエット。ここは一番盛り上がり超絶テクニックのシーン。
最後は、アナニアシヴィリが飛び込んでコレーラが受け止め、そのままリフトで持ち上げて消えると、客席はほとんどが立ち上がり、すごい拍手喝采を送りました。

第四幕は、湖のほとりのシーン。
森の中、舞台上はドライアイスの煙に包まれ、白鳥が数羽ずつ上手下手から通り過ぎました。次第に舞台上に白鳥達の姿が増え、羽を閉じるポーズをすると王子が登場し、オデットが崖の上から登場しました。
そしてオデットと王子がパ・ド・ドゥを踊り、ロッドバルトが2人の仲を何度も何度も引き裂きます。呪いは解けず白鳥の姿のまま絶望したオデットは、とうとう崖から湖に身を投げてしまいました。すぐにジークフリートも後を追って、身を投げ、ロッドバルトも息がついに絶えました。

ny0908b02.jpg

一度降りた幕が再び上がりカーテンコールでは、今回はアナニアシヴィリの引退ステージなので、大勢の関係者が舞台上で順番に出てきて、ニーナに花束を渡していきました。まだ小さなニーナの娘さんも出てきて花束を渡していました。とても可愛かったです。舞台上はたくさんの花束が山のように積まれ続け、その様子はとても感動的でした。
観客たちも一向に帰る気配はなく、ずっとニーナに拍手を送り続けていました。
コレーラに向ってアナニアシヴィリが飛び上がって、沈み込むように彼女を受けてリフトで持ち上げるという白鳥の振付をやったり、後ろ向きのままパ・ド・ブレをし、腕を羽ばたかせながら通り過ぎたり、アナニアシヴィリは最後までサービス精神であふれていました。
すべてが終わり、アナニアシヴィリが本当に去っていって幕が閉じたのは、夜11時を過ぎていました。8時の開演から4時間以上、感動的な夜でした。
(2009年6月27日夜 メトロポリタン・オペラ・ハウス)