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ドヴォロヴェンコ&ベロセルコフスキー主演 ABTの『ジゼル』

ABT (American Ballet Theatre)
Coralli & Perrot " Giselle "
アメリカン・バレエ・シアター
コラリ&ペロー『ジゼル』

7月11日まで8週間に渡って、メトロポリタン・オペラ・ハウスでアメリカン・バレエ・シアター(ABT)の公演が開催されています。
私は6月10日『ジゼル』の公演を観ました。アドルフ・アダン作曲による有名なロマンティック・バレエです。ジゼルはイリーナ・ドヴォロヴェンコ、アルブレヒトはマクシム・ベロセルコフスキー、ヒラリオンはソリストのゲンナジー・サヴァリエフ、ミルタはヴェロニカ・パートというキャスティングでした。
 

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第一幕は、舞台背景は遠くに城と丘があり、大きな森にかこまれて下手にジゼルの家、上手にも家があります。心臓の弱いジゼルは踊りが好きな少女で、村を通りかかった貴族のアルブレヒトが身分を隠してジゼルに恋して楽しく踊ります。
収穫祭のペザントのパ・ド・ドゥは、イサベラ・ボイルストンとミハイル・イリンが楽しそうに元気いっぱいに踊りました。ジゼル(ドヴォロヴェンコ)は、左足でポワントのまま右足でピケをしてずっと前に進んでいくソロを踊りました。16回転のピルエットもありました。どれも第1幕の踊りの見どころです。
ジゼルの狂乱のシーンは、だんだん持病の心臓が苦しくなり始め、何も無いはずの空中に向って話しながら踊って、気がおかしくなって心臓を押えて倒れ、また激しく走り回って、倒れました。そして息絶えるのですが、このときのドヴォロヴェンコの演技はとてもよかったです。客席は静まり返ってジゼルを見つめ、劇場全体が感情移入して一体になったかのように盛り上がりました。

第2幕では、ヒラリオンが大きな十字架を背負って登場し、ジゼルのお墓に立てました。ウィリの女王ミルタの頭には小さい花のティアラ、白いシフォンのような長いドレスでした。ウィリたちも同じ白いシフォンの長いドレスで、アラベスクやアティチュードで2回転とか、同じような振付で無表情で冷たく踊っていました。みんな森の精霊なので、人間とは違う感じを表すために真っ白な衣装で無機質な冷たい感じを動きで表していました。血が通っていない精霊の様子がとても美しく表現されていて感心ました。
第2幕のアルブレヒトは、打ちひしがれ花束を抱えて、ジゼルのお墓を見つめ、マントを脱いで駆け寄ってひざまづき、激しい悔恨の気持ちを表しました。
アルブレヒトのソロでは、ダブルシャンディマンやアティチュードの回転が見事でした。ジゼルはダブルシャンディマンとかシャンディマンの間に空中でパッセを繰り返しましたが、これはとても可憐な可愛い感じの踊りでした。
やがて鐘の音が鳴って、朝の光が射しこんできて、ウィリたちとミルタはポワントを使って静かに消えました。ジゼルも消え、アルブレヒトだけが一人とり残され、ジゼルのお墓にくずおれ、悲しく美しいバレエの幕が降りました。
(2009年6月10日夜 メトロポリタン・オペラ・ハウス)