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楽しくて雰囲気のある『コッペリア』
ニュ−ヨーク・シティ・バレエ

New York City Ballet
George Balanchine & Alexandra Danilova:"Coppelia"
ニューヨーク・シティ・バレエ
ジョージ・バランシン&アレクサンドラ・ダニロワ『コッペリア』

4月29日にニューヨーク・シティ・バレエの『コッペリア』を観劇しました。全3幕からなる長編バレエです。バランシンとアレキサンドラ・ダニロワの振付で、ニューヨーク・シティ・バレエでは1974年に初演されました。スワニルダ&コッペリアはミーガン・フェアチャイルド、フランツはホアキン・デ・ルース、コッペリウス博士はロバート・ラ・フォスです。

第一幕は、ガリシアのある村が舞台です。村の様子の舞台セットは、パステルカラーで絵本の中のようで可愛いです。上手にコッペリウス博士の家があり、その窓辺には博士が娘のように思っている人間の等身大のとても可愛い女の子の人形コッペリアが、読書をする形でイスに座らされています。
村の少女スワニルダがその前の広場にでてきて踊ります。
フランツは窓辺のコッペリアに一目ぼれをして投げキッスを送りました。するとコッペリウス博士がこっそりねじを巻き、コッペリアはイスから立ち上がって投げキッスを返しました。その後、スワニルダとフランツが2人で楽しそうに踊り、村の若者たちが大勢出てきて、男女7組でフォークダンスのような踊りをしました。
フランツのソロやスワニルダと村の少女たち8人での踊りがあり、次のスワニルダのソロは、パッセが多いかわいらしい振付でした。彼女がグランバットマンを繰り返しながら前に進んでいくところもありました。
コッペリウス博士は少年たちに街角で襲われて、鍵を落としてしまいましたが気が付きません。
スワニルダたちがその鍵を拾うと、以前から興味津々だったコッペリウス博士の奇妙な家に忍び込みます。コッペリウス博士は鍵が無いことに気付き、家のドアが開いているのを発見しました。フランツは一目ぼれした窓辺の少女のことを忘れられず、長いはしごをかかえてきてコッペリウス博士の家の窓に登っていきます。
 

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第2幕は、コッペリウス博士の家の中。8人の少女たちはおびえながらかたまって家に侵入ます。やがてスワニルダたちは、コッペリアがただの人形であることを発見。そして家の中にあったほかの人形たちを勝手にいじると、等身大の人形たちは面白い動きで動き出しました。コッペリウス博士が戻ってきて、怒ってみんなを追い出しました。スワニルダだけは逃げそびれて家の中にひそんで、こっそりコッペリアの服をぬがして自分が着て入れ替わってしまいました。
今度はフランツが窓から侵入してきますが、博士に見つかってお酒を飲まされて眠ってしまいました。博士は愛しそうにクローゼットの中にしまってある人形コッペリアを引っ張って出してきました。そして、眠っているフランツの魂の精気を取り出してコッペリアにかけてみました。博士は魔術師でもあるので、眠っている若者のエネルギーを人形に移すと人形に魂を入れることができるかもしれないと考えたからです。すると少しずつコッペリアは動き出しました。
コッペリアに魂が完全に入り、カクカクと踊りだしたので、博士はたいへん感激しました。この有名なシーンでコッペリアは、人形らしくとても可愛いらしく踊りました。博士の一連の演技も情感がこもっていてとても上手でした。
ところがコッペリアは、博士に反抗しはじめて、大騒ぎして逃げ回り、最後にはクローゼットの中から本物の人形コッペリアが服を全部はがされたままてきました。博士は魂が入ったコッペリアだと信じたものは結局スワニルダだったと知り、ショックで大いに落ち込みます。

第3幕は、村のベル祭りです。全体がピンク色につづまれた村の景色が背景で、舞台セットがとても美しくておとぎの国のようでした。舞台セットの天井には、9個の大中のベルがつる下がっています。市長の前で、村の若いカップルたちがホリデー用のドレスを着て集まりました。たくさんのベルが順番に鳴らされました。それがすべて踊りで表現されていました。働くためのもの、祈るためのもの、戦うためのもの、平和のためのものなどです。小さな女の子たちがピンクのチュチュを着て踊りました。
そして3人の女性のソロ。クリームと黄色のシフォンワンピースの女性は「夜明け」の踊りで、ピルエット18回転も披露しました。水色のシフォンワンピースの女性は「祈り」の踊りで、ゆったりとした優雅な振付でした。赤いシフォンワンピースの女性は「紡績工」の踊りで、少し激しい踊りを軽快な音楽に乗って披露しました。
 次は4人の道化師たちが踊りました。身体にたくさんの鈴を縫い付けていて、動くたびに鳴りました。飛び回って踊り、ダブルシャンディマンやグランバットマンとか大きな技を繰り返していました。
「不和と戦争」の踊りは、水色と青の表面がウロコのようなとてもかっこいい衣装に身を包んで頭に金属のかぶとのようなものをかぶった男性の戦士たち8名が、手にヤリを持って激しく踊りました。そして次に女性の戦士たちがグレーと水色、青系の衣装で、小さいヤリを持って小さめなかぶとを着けて踊りました。素敵な衣装で、とてもかっこよくてきれいでした。
「平和」の踊りはスワニルダとフランツのパ・ド・ドゥ。彼らは将来結婚するという設定で、フランツのソロ、スワニルダのソロと続きます。このスワニルダのソロも有名な振付抜粋して踊られることも多いので、見逃せません。ポワントのまま踊りながら足を前に少しずつ出して、進んででてくる踊りです。そして何回か男女でソロの大技を繰り返して、そしてコーダもとても華やかでした。ミーガンとホアキンは息もピッタリと合っていて、活き活きとした素晴らしいグラン・パ・ド・ドゥでした。じつに楽しい雰囲気で盛り上がった『コッペリア』で、またぜひ観たいという気持ちになりました。
(2009年4月29日 ニューヨーク・ステート・シアター)