ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From New York <ニューヨーク>: 最新の記事

From New York <ニューヨーク>: 月別アーカイブ

ミステリアスでスピリチュアルなローラ・パウエル・ダンス・カンパニーのステージ

Laura Pawel Dance Company
ローラ・パウエル・ダンス・カンパニー
ny0904b01.jpg

 3月20日、21日に、バリシニコフ・アーツ・センターでローラ・パウエル・ダンス・カンパニーの公演が行われました。
3月は面白そうな公演が少ない月でしたので、小さな劇場で上演している小さなカンパニーの舞台も観劇してみました。普段は観に行かないような小さなカンパニーこそ、ニューヨークらしい面白いものがありそうだなと思ったからです。これは、ニューヨーク地元ならではのレポートです。
1973年の作品『フィンクス』や、今回初演の『ゼア・マイト・ビー・マンゴーズ』など、6作品の小品集でした。

ダンサーたちが出てきて踊り始めるとビックリ、全員がほぼ、ご老人で体型がくずれた年配のダンサーばかりなのです! ピチピチの若いダンサーは一人もいません。白髪の男女も混じっています。まず、これに驚きました。日本人男性の黒沢マキもいました。多くの参加ダンサーたちは、昔ダンサーやダンス教師だった方もいますが、もともとはダンサーではなく、遅くれてダンスを始めたアーティストの方も何名か見受けられました。芸術家たちのカンパニーなのですね。

彼らは全員がトレーニングを長年受けています。そして彼らは長い間一緒にこのカンパニーで踊り続けていて、たいへん息の合ったダンスを見せてくれました。ローラ・パウエル自身が振付けて、ご本人も踊っていました。
パウエルはかつてリモン・カンパニーで踊っていて、マース・カニングハムにも学びました。なんと、1968年以降、ずっと自身のカンパニーのために60以上の作品を創作して、それを続けています。もう40年以上も自分のカンパニーで踊り続けているのです! 多くのダンサーたちは、若い時期だけ現役で踊って、35歳以降くらいからは引退してダンサーの育成に転向するものですが、パウエルはご老人になってもずっと現役で未だに振付して踊り続けているのですから、すごいなと感心させられました。
カンパニーのメンバーたちも同様で、ずっとパウエルとともに長い年月を一緒に活動し続けています。ほとんどの作品が、生演奏の音楽でしたが、彼らミュージシャンや作曲家たちも、もう長い年月このカンパニーに参加し続けているそうで、音楽とダンスとの息もとても合っていました。

ny0904b02.jpg

音楽も振付もニューエイジ系で、“ブワ~ン・・・” としたリズムのないような静かでゆっくりしたもので、とてもミステリアスでスピリチュアルでした。激しい振付は1つもありません。全部がミステリアスで不思議な感じでした。動作が止まって、全員が変な顔の表情をゆっくり変化させ続けるという顔芸だけのところもありました。パントマイムの要素も強かったです。
音楽を聴いてダンスを見ていると、不思議な世界に入り込んで、ゆったりとしたリズムのせいか、ヒーリング効果もあるような気がしました。例えて表現するなら、「普段着で、脱力感がある」ゆるゆるな感じのダンスカンパニーです。

今回初演の『ゼア・マイト・ビー・マンゴーズ』は、ジャズのカルテットの生演奏つきでした。セリフも多く、演劇のような要素が強かったです。
不思議で面白い、変わった個性的なカンパニーだったので、観てよかったと思いました。
(2009年3月21日夜 バリシニコフ・アーツ・センター)