ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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皆様、お元気ですか。 春も近いのに、ニューヨークはまだ未だに冷え込む日が続いています。夕方以降はまだダウンジャケットが必要です。今年は異常気象でニューヨークは寒すぎる様子です。春が待ち遠しいものです。

セヴィオン・グローヴァーによるフラメンコ音楽とタップダンスの融合

Savion Glover "SoLo in TiME"
セヴィオン・グローヴァー『ソロ・イン・タイム』

 3月3日から22日まで、ジョイスシアターにて、世界的タップダンサーであるセヴィオン・グローヴァーの『ソロ・イン・タイム』の公演が行われました。セヴィオン・グローヴァーは現代のタップダンサーの中で第一人者なので、いつも大人気。ジョイスシアターでは異例の3週間公演です。トニー賞受賞歴もあります。
 私もセヴィオン・グローヴァーの大ファンなので、毎年欠かさず彼の公演は拝見させていただいていて、こちらのコラムにもレポートを書いてきました。今年も楽しみにしていました。

 今回の公演は、フラメンコ音楽とタップダンスの融合がテーマです。フラメンコの生演奏にのってタップダンスが繰り広げられました。タップで刻むリズムの音も音楽の一部として扱っています。フラメンコの演奏は、ラ・コンハ&ザ・セインツです。ラ・コンハはフラメンコ歌手&ダンサーで、他はギターとベースとパーカッションの3名のミュージシャンが舞台上に出演して、生演奏をしていました。
 
 出演ダンサーは3名で、セヴィオン・グローヴァーが中心的に踊り、他2名はマーシャル・デイヴィス・ジュニア、カルティエ・A・ウィリアムズです。マーシャル・デイヴィス・ジュニアは、セヴィオン・グローヴァーが振付でトニー賞を受賞したミュージカル『ブリング・イン・ダ・ノイズ、ブリング・イン・ダ・ファンク』に出演していたタップダンサーです。カルティエ・A・ウィリアムズはまだ19歳ですが4歳からタップを始め、すでに10年前から様々なタップ・マスターたちのツアーに参加してきました。さすがにこの3人とも、とてもレベルが高いタップを見せてくれました。天才的なタップでした。3人で揃って同じ振付でタップをするところが多かったです。衣装は3名とも、上下黒のきちんとしたスーツ姿でした。

 公演は、第一幕は6曲で、休憩をはさんで第二幕も6曲でした。曲はフラメンコだけではなく、ヴァラエティに富んでいました。

 第一幕は幕が閉じている時から舞台上で3人がタップを刻む音が聴こえ始めて、それから幕が上がりました。1曲目の「シー・シー」は生演奏の音楽に乗って、3人が同じ振りで揃ってタップを踏みました。次は音楽なしで3人のタップの音だけでした。すごいリズム感です。同じ振付で揃ってタップを踏みましたが、だんだんに様々にリズムを変えていきました。3曲目は「グルーヴ・G.ハインズ」で、セヴィオン・グローヴァーが生でアカペラで歌いながら、3人が同じリズムで踊りました。これは珍しくセヴィオン自身が歌ったので、客席は和んで笑い声があちこちで聞こえていました。思いがけないセヴィオンからの素敵なプレゼントでしたね。私もセヴィオンの歌を始めて聴きました。
 続いてベースも加わってフラメンコ音楽の<3拍,3拍,2拍,2拍,2拍>のリズムで、3人が同じ振りで踊りました。途中から、6/12拍子のリアルアフリカのリズムを混ぜて変形させていました。次は、セヴィオンがソロで、ベーシストだけが加わり、いつもの彼の得意なスタイルで、独特のフリージャズのようなリズムで踊りました。ものすごい早打ちも出ました。
 6曲目は「スキップ・ア・ビート」で、これは録音の音楽で、リズムはファンクでした。これはニューヨークらしいファンク・タップで、見応えがありました。3人の踊りでした。

 第二幕は、フラメンコ色がとても強く出ていました。最初はこの公演タイトルにもなっている「ソロ・イン・タイム」で、セヴィオンだけが舞台に出てソロでタップを踏みました。タップのリズムをまるで音楽の生演奏のように使っていて、客席は静まり返って聴いていました。それからは、女性フラメンコ歌手のラ・コンハをはじめ、フラメンコ音楽の生演奏がずっと最後まで続いて盛り上がりました。ラ・コンハは歌とともにカスタネットとサパテアードを入れていました。基本的に音楽のリズムはフラメンコでしたが、途中、フリージャズのようなリズムになったところもありました。すごい迫力でした。セヴィオンのソロも多かったです。彼は汗だくになって踊っていました。
(2009年3月5日夜 ジョイスシアター)