ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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 皆様、こんにちは。私は、今年は13年ぶりに、日本で年末年始を迎えることができました。楽しい日本のお正月でした。日本では、1月に講演会1回 とサイン会(プチ講演会付き)を3回行いました。読者の方々と直接お会いできる貴重な機会に恵まれよかったです。ダンス・キューブ読者の方もいらっしゃい ました。 今年も本をコンスタントに出版させていただく予定ですので、よろしくお願いします。

NYCBプリンシパル兼振付家「ベンジャミン・ミルピード・ダンス・コンチェルタンテ」

Benjamin Millpied Dances Concertantes 「ベンジャミン・ミルピード・ダンス・コンチェルタンテ」

 12月9日から14日まで、ジョイスシアターでベンジャミン・ミルピード・ダンス・コンチェルタンテの公演がありました。
ベンジャミン・ミルピードは現役のニューヨーク・シティ・バレエのプリンシパルでもあるので、この公演は楽しみにしていました。ミルピードは、1995 年にニューヨーク・シティ・バレエに参加、1998年からソリスト、2002年からプリンシパル・ダンサーです。彼は現役プリンシパルと振付家を兼ねたバ レエダンサーです。以前、このコラム内でインタビューしましたABTのアンヘル・コレーラは、クラシック・バレエのダンサーと振付家は全く違うベクトルな ので、両方を兼ねることは難しい、と語っていました。
そういう話も聞いていたため、私はますますこの公演と振付を拝見するのを期待して、とても待ち遠しくしていました。

 上演されたのはミルピードの振付による、2作品です。メンバーの出演ダンサーは、セリーヌ・カッスーン以外は全員がABTの若手現役ダンサーでしたので、ダンサーのレベルが高く、とても見応えがありました。

Benjamin Millpied: 28 Variations on a Theme by Paganini
『28ヴァリエーションズ・オン・ア・テーマ・バイ・パガニーニ』は、2005年初演の作品です。音楽はブラームスの『パガニーニの主題による変奏曲』 で、ピアノの生演奏でした。衣装はニューヨーク・シティ・バレエが提供しています。ダンサーは男女5組、10名でした。

 衣装はクラシックなもので、女性はシフォンスカートのワンピースとトウシューズで、男性はタイツとブラウス、ベストでした。
社交界のダンスのような感じで、クラシック・バレエ・ベースですが、アクロバットな振付は控えていて、基本に忠実に、ミルピードらしい個性的なところもありました。内容はストーリーが少しあったようで、ふくれて喧嘩したり、仲直りしたりしていた様子です。
男女ペア5組が、次々にいろいろな振付で踊り、交代して入れ替わって展開していきました。リフトが多用されていました。途中、男性2名と女性1名が一組になり、一組ずつ踊ったあと、3組でてきて、男性2名で女性を引きずったり持ち上げたりしていて、面白かったです。

  観ていて気がついたミルピード独特の振付は、回転しながら最初アラベスクをしていて、そのまま回って足を上げたままでグランバットマンの形に向きを変えて から足を床に付けるという、この動きを続けていました。一言で言うと、足を上げたまま回転している最中にその足の向きを反対にするということです。これは 現代的な動きです。

 また、女性のソロで面白かったところは、右足を前に少しピケ、左足を後ろに少しピケ、で交互に出しながら、少しずつ回り、まるでオルゴールの人形のような可愛らしい回転の仕方のところです。
このように、ところどころクラシック・バレエ一色ではない、現代的な個性的な振付のところがありました。

 そして圧巻は、ダンサーたちが次々に出てきて、たたみかけるように踊りが重なっていき、軽やかなダンスが繰り広げられました。最後は、大勢が、5組ペアで同時に跳ねて踊っている最中に、幕が閉じました。

Benjamin Millpied: Without
『ウィズアウト』はショパンの曲を使っています。舞台3方向(後ろ、左右)が黒いカーテンで覆われていて、そのカーテンのすき間から、ダンサーが登場したり消えたりしていました。男性は黒いパンツとTシャツ、女性は短いシフォン・ワンピースです。

 カーテンのすき間から、次々にダンサーがペアで出てきて、1組から3組などで同じ振付で踊りました。情感がこもってしみじみとした踊りもありました。途中、女性ソロで、とてもかわいらしい軽やかな踊りがあり、印象的でした。
男女ペアで、女性が男性に抱きついて、リフトして戻ったり、女性の上半身が上で一回転で一周して足が前にきたり、それを何度か繰り返していたところが面白かったです。

 男女が語り合うような動きが多かったです。先ほどの一つ目の作品の時と同じですが、足を上に上げたまま回転している間に足の向きを前後反転させるところが多用されていました。これはミルピードが好きな振付だと思われます。
(2008年12月11日夜、ジョイスシアター)