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アメリカン・バレエ・シアターの『眠れる森の美女』


ヘレーラ、コレーラ
 5月19日から7月12日まで、リンカーンセンターのメトロポリタン・オペラ・ハウスで、ABTの公演が約2ヶ月間行われています。ABTは多くの作品を今シーズンも鑑賞しているので、こちらのコラムでは3回にわたってレポートをお伝えします。
 6月16日夜8時開演の『眠れる森の美女』を観に行きました。妖精がたくさん出てくる夢のようなおとぎ話で、私も大好きなバレエ作品です。チャイコフスキーの音楽もステキです。鑑賞中は日常をすっかり忘れて、幻想的なひと時を過ごせます。舞台セットも衣装も、豪華絢爛で素晴らしいです。
 オーロラ姫はパロマ・ヘレーラ、デジレ王子はアンヘル・コレーラ、リラの精はヴェロニカ・パート、悪霊カラボスはナンシー・ラッファです。ソリストの加治屋百合子はファーヴァー(Fervor)の精の役です。

 プロローグでは、リラの精や加治屋のソロが続きました。オレンジ色の衣裳を着た加治屋の踊りは、手先や首の動きがとても繊細で、神経が行き届いていてやわらかい感じです。妖精のナイトたちは男性6名で、上半身にウロコのようなものが一面についていました。
 突然嵐が起こり、スモークと花火の光と音と共に、カラボスが子分のハエ男のような者たち4人と一緒に出てきました。カラボスの衣装は黒とえんじ色っぽく背中に黒い羽が生えていて、とてもカッコいいものでした。そしてカラボスは糸つむぎ棒を落として消えました。

 第1幕はプロローグの16年後の設定で、お城の庭でオーロラ姫の誕生日パーティーが行われ、彼女に結婚を申し込みたいプリンスたちが来ていました。オーロラ姫のヘレーラは、上の階段から庭に降りてきて、4人の王子たちと次々に踊りました。プリンス達が順に支えを代わるアダージオでは、へレーラがアティチュードで足を止めたままバランスを取るたびに会場から拍手が起こりました。オーロラ姫がソロで踊り、そのパーティーを憎んだカラボスが現れて、彼女に糸つむぎ棒をプレゼントしました。それを手にして踊ったオーロラ姫は手に刺さってしまい、だんだんよろめきながら踊り、意識を失って倒れてしまいました。その時リラの精が現れて、お城の人々全員を眠りの魔法にかけました。みるみるうちにつるが延びてお城はツタで覆われていきました。

 第2幕はそれから100年以上経った設定で、デジレ王子のアンヘル・コレーラがみんなで狩りの冒険に来ていました。そして遠くにオーロラ姫のお城の幻を観た王子は一人で森に残り、そこにリラの精が現れて、オーロラ姫の美しい幻を見せました。オーロラ姫の幻と王子は2人で踊ります。そしてみんな消えて、王子はソロで踊り、大ジャンプなど大技を見せました。王子とリラの精は2人で白鳥の大きな船にのって川を進み、森の奥へといきます。
 ところが、カラボスと子分たちが現れて、デジレ王子たちの邪魔をして、王子は大きなクモの巣に捕えられてしまいましたが、戦ってカラボスを倒しました。
 そしてデジレ王子は塔の中で眠っていたオーロラ姫にキスをすると、彼女は100年の眠りから目を覚まし、2人で下に降りてくるとお城の皆も目を覚ましました。

 第3幕は、オーロラ姫とデジレ王子の結婚式です。ここも見所がいっぱいで、有名な踊りやプリンシパルたちのパ・ド・ドゥなどが圧巻でした。彼らの結婚を祝う森の動物たち、ネコや狼、青い鳥のカップルなどが登場して順番に踊りました。(私は特に、ここの青い鳥の女性のソロの踊りが大好きです。)加治屋たちフェアリー3人の踊りや、ソロで順番に踊るところもあり、目だっていました。ヘレーラとコレーラのパ・ド・ドゥ、ソロも素晴らしかったです。最後はコレーラとへレーラが交互に大技をきめて、盛り上がりました。コレーラは、2回転ジャンプを繰り返して周り、客席は歓声で埋まりました。
 フィナーレでは全員が出てきて踊り、迫力があふれました。
 オーロラ姫パロマ・ヘレーラと王子アンヘル・コレーラの2人に、フェアリーたちが長い白いベールを肩にかけて、取り囲んで終わりました。この最後のシーンは、美しくて、鳥肌が立ちました。