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コンパニーア・メトロスの『カルメン』

 2月21日から3月4日まで、ジョイスシアターにて、コンパニーア・メトロスの『カルメン』の公演がありました。これは、バルセロナを拠点とするダンスカンパニーで、1984年に創立されています。20年以上も続いている、わりと古いカンパニーなのですね。創立者でもある振付家と芸術監督は、ラモン・オリェールです。

『カルメン』は、スペインの名作で、アントニオ・ガデスが出演したカルロス・サウラ監督の映画でもおなじみです。アンダルシアのたばこ工場で働くカルメンが、彼女を捕らえたホセと恋に落ちます。しかし村にやってきた闘牛士とまた激しい恋に落ちて気持ちはそちらに動いてしまいます。彼に対しては全く冷めて冷たい態度になります。そしてついには、彼が嫉妬にかられてカルメンを殺してしまう、というお話です。このカルメンの激しい情熱と、あいまいさが全く無いはっきりした意思の強さが悲劇を生んでしまうのですが、それが典型的なスペイン人の激しい気性と情熱をよく表現している作品だと言われています。このスペインの古典的な物語を、コンパニーア・メトロスではどのようにダンスで表現しているのか、楽しみにしていました。


 
 舞台は、タバコ工場の屋上という設定でした。女性たちの衣装がとても可愛くて、スペインらしいヒラヒラの多いワンピースでした。一人年配のフラメンコ・ダンサーの女性が、みんなが踊っている周りの端っこで、時々フラメンコのサパテアードを打ち鳴らして、場面に変化を加えていました。味が出ていて、なかなか良かったです。周りの女性たちも少しフラメンコを混ぜていましたが、基本的には振付はコンテンポラリーです。

 全体が物語りになっているのですが、それを全て踊りで表現していたので、すごく感心しました。観ているだけで、映画のようにストーリーや登場人物の感情が伝わってきて分かります。主人公のカルメンを演じている女性は、最初の彼や闘牛士に抱かれる様子を、2人で踊りながら服を脱いで、上半身ヌードで体当たりで表現していました。リフトも混ぜた踊りだけで映画のようなシーンを作っている振付はすごく良かったです。ラモン・オリェールの才能は素晴らしいと思いました。

 最後、カルメンが殺されるシーンでは、屋上の水のタンクの蛇口が全開にされて、本当に水がジャージャーとすごい勢いで出ていました。そこでホセとカルメンがもみあって水浸しになり、首を絞められて殺されてしまいました。水はカルメンが倒れたその後も流れたままです。水がとても効果的で、観客の感情も高ぶりました。ものすごい拍手で、観客たちは総立ちでした。すごかったです。