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ジャパニーズ コンテンポラリー・ダンス ショーケース


 ジャパンソサエティーが毎年主宰している「ジャパニーズ コンテンポラリー・ダンス ショーケース」の一環として、10周年記念の特別公演が、1月16日から21日までジョイスシアターで上演されました。出演したカンパニーは、4組です。

レニバッソ

 レニバッソの『フィンクス』は、北村明子が振付と芸術監督です。舞台上に映像のスクリーンとカメラが何台か置かれ、その場で色々な映像を混ぜていくVJもいて、マルチメディアを駆使した作品です。スピード感のあるシャープな印象の振付でした。


 

 

パパタラフマラ

 パパタラフマラの『三人姉妹』は、3人の女性ダンサー達が繰り広げる、演劇の要素が強い作品でした。演出家は、小池博史。パントマイムのような、カクカクした人形の動きの振付が多かったです。音楽と、セリフと演技付きで、独り言のようなセリフをぶつぶつしゃべりながらそれにいつのまにか節がついて歌になっていたり、とても面白かったです。床には人形やおもちゃなどが転がっていて、イスが後ろに3個置いてありました。3人の女性たちは、メルヘンチックなギャザースカートを着ていました。コメディーのようで、時々客席は大笑いしていました。最後に3人とも服を脱ぎ捨てると、黒いボンテージ風のレオタードに変わり、あっと驚かせていました。


伊藤キム+輝く未来

 伊藤キム+輝く未来の、『生きたまま死んでいるヒトは死んだまま生きているのか?』は、伊藤本人を含めてすべて男性の4人のダンサーが出演しました。舞踏のような日舞のような、あまり頭の位置を動かさない、もっとゆっくりした動きの振付でした。バックに3人の男性たちが全裸で立っていて、股間を片手で押さえ、顔を片手で押えながら、太ももの内側をピッタリくっつけて少しひざを曲げたまま、内股気味にして、一点を軸にしてゆっくりゆっくりと、ぐるぐる何回も回りながらだんだん前に進んでいきました。まるで3人の小便小僧のように見えました。舞台前方では、伊藤は衣装を着けて、ソロで踊り続けました。しゃがんだままゆっくりとスローモーションのように少しずつ動きながら進んだりしていました。不思議な独特なワールドを持った踊りでした。


Noism07

 Noism07の『NINA materialize sacrifice - 1st part』も上演されました。これは、日本でもすでに上演された作品の一部分です。
 インタビューした金森穣が芸術監督、振付けをしている作品です。圧巻で素晴らしいの一言で、抜きん出ています。「これは間違いなく世界水準の振付だ。こんな人が日本から出てきたなんて素晴らしい」とショッキングだったので、インタビューさせていただいた次第です。後に金森氏の経歴を知り納得しました。特に、複雑にリフトを多用しているところが、舞台全体の空間をたくさん使って表現しているため、素晴らしいと思いました。
一般にコンテンポラリーの振付では、リフトの使い方や技術が分からないことが原因だと思われますが、ほとんどリフトが無いに等しい振付が多く、舞台空間の使い方が床の上だけで、平べったいイメージから抜け出せていないものがよく見受けられます。日頃、たくさんダンス公演を観ていると、「身体だけで表現することには限界があるのだから、もっと出来るだけ上の空いている空間も大きく使ってリフトも多用して振付けたらいいのにな」と思うこともしばしばでした。ですから、金森氏の振付が、リフトを自由自在にあやつって空間を大きく使って伸び伸びと表現した作品だったので、驚きました。おそらく、私が今までに観たコンテンポラリーの作品で、一番か二番くらいに好きな振付家です。それが、日本人だったので、びっくりしました。
上演後、客席のあちこちのアメリカ人が“ブラボー!”と叫んで立ち上がって、拍手に包まれました。歓声が凄かったです。