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アスール・ダンス・シアターの初公演『ウインド・フロム・ファー・イースト』


3月17日、18日に、マース・カニングハム・ストゥーディオ にて、振付家の長谷川ゆきが主宰するアスール・ダンス・シアターの初公演、『ウインド・フロム・ファー・イースト』がありました。
 長谷川ゆきは、3歳からバレエを続け、神戸女学院大学で心理学の学位をとった後、上京、ミュージカル女優(『オリバー』、『ゴールデンボーイ』など)として8年ほど活躍。その間、ジャズダンス、タップ、日舞、シアターダンスを学び続けました。その後、ニューヨークに移転し、ニューヨーク大学の大学院でダンス教育の修士を取得し、様々な場所で振付作品を発表してきました。今回は、初めて自らのダンスカンパニーを主宰して、その旗揚げ公演です。彼女が今まで学んできた様々なダンスの要素がミックスされた作品でした。メンバーのダンサーは8人で、朝倉千鶴、安里マドカ、カワイ・キオリ、コジマ・ミツハ、マキダ・サトミ、ミキ・アユミ、西村アオイ、鈴木弥生です。

 鼓童の音楽を使った作品が多く、全体的に、東洋と西洋の要素を混ぜた振付でした。音と動きが合っていました。振付は、2作品を除いたすべては長谷川ゆきによるものです。着物を着て日舞の要素も多かったです。日本人ならではの、他にない素晴らしい作品でした。ゆき本人も、最初の作品に、着物姿で少し踊りました。ただ、着物を着た女性達はだしで踊っていたため、音楽なしで無音で踊るシーンは、足を動かすたびに床がキュッキュッと大きく鳴り響いていたので、気になりました。足袋を履くと滑るからでしょうか? 個人的には、足袋を履かれたほうが音が鳴らなくていいと思いました。

 一番印象に残った作品は、最後の『祭り』です。音楽は鼓童です。全員、ハッピ姿で出てきて、元気いっぱいの踊りでした。とてもよい振付だと思います。特に、手の使い方がバレエのようにアンオウではなく、脇は開いている状態で、ひじがピンと伸びていて、手のひらは外に向けられたまま腕が上下左右に動くところが良かったです。あと、その腕の動きのまま両手を左右にうんと開いて、グランプリエして、歌舞伎のように首をグルッと回すところも印象に残っています。

『ラッフィング・エンジェルズ』の第二部は、じつは私の音楽を使った作品です。アルバム「セブン・ゴッズ」の5曲目、「浄化の儀式」で、10分近くもある曲なので、振付はさぞ大変だったと思います。自分が作った曲で振付して踊ってくれている姿を見ると、とても感慨深かったです。

 終演後、長谷川ゆきさんにお話を伺ったところ、「振付の作業は大変でした。今後1年に1回公演していくのにはすごくエネルギーがかかりますが、2回、3回と続けたいです。振付は、気に入った音楽を聴いていると、ダンサーたちが動いている動きの映像が浮かんできます。自分で身体を動かしながら作るのではなく、先に振付の映像が浮かんできて、それをもとに創っていきます。今回は、ダンサーたちのレベルが高かったので、自分が考えていた以上の動きをしてくれました。ダンサーのクオリティーはとても大切です」と語ってくれました。