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サッシャ・ワルツはダンス、演劇?

 12月6日から10日まで、BAMで、サッシャ・ワルツの『インプランプトゥス』の公演がありました。いつも、BAMでは、選りすぐりのいいダンス公演があるので、できるだけ行くようにしていますが、今回の公演は「なぜこのカンパニーがバムに呼ばれて公演しているのだろう?」と首を傾げてしまいました。抽象的なことを表現しているのでしょうけれど、ダンスの原型をほとんど留めておらず、退屈で、時間の無駄に思えてきて、途中で帰りたくなりました。現に、だんだん、あちこちでため息が聞こえてきて、何組も次々に席を立って帰っていきました。
この公演は、「ダンスを観に行く」という意識で観に行っては期待が外れてしまうので、「演劇を観に行く」という意識で行く方が良い様です。

最初のうちは、ダンスの振付がありました。手でつかまずに腰など身体のほかの部分を傾けてそこに乗せる、曲芸のようなリフトで、2人組のダンスのシーンがありましたが、それは面白かったです。オペラ歌手も出てきて歌を歌いました。
途中、ただぐるぐると円を描きながら2人のダンサーがジョギングし続けたり、水の入った長靴をはいた男女が水着で出てきて、足を一歩踏み出すたびにチャポチャポ鳴っていました。そのあと、その長靴のなかの水と絵の具をまぜて、数人のダンサーが立っている足元に、赤か黒どちらかの色の液体を流して、ダンサーたちはただ突っ立っているだけでした。

極めつけは、舞台の照明が一瞬消えてまた点いた時に、なんと浴槽があり、そこに2人の女性ダンサーが出てきて、服を全部脱いで全裸になり、ごしごし身体や髪を洗って、またバスタオルで身体を包んで去っていくところです。「彼らは、ダンスをせずに、一体何を言いたいんだろう?何を表現するために、こんなお風呂のシーンを作る必要があるんだろう? これは、ダンス公演ではない!」と、私にはよく理解できませんでした。前述の長靴と絵の具のシーンでちらほらお客が立って去り始め、またこのお風呂のシーンで、ドバッと大勢のお客が立って出て行ってしまいましたが、それも当たり前だと思いました。
今回ばかりは、私の趣味に合わず時間の無駄でした。私はダンスの振付を観たいのです。がっかりさせられて、観た後は不快感だけが残りました。ニューヨークには色々なダンス公演が来るので、中にはこのような公演もあるのですね。ポストモダンと呼ばれる分野なのでしょうか?