ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2014.02.10]

時間と空間の次元が融合するNoism 1 『PLAY 2 PLAY---干渉する次元』改訂再演

Noism 1
『PLAY 2 PLAY--干渉する次元』金森穣:演出振付

金森穰の『PLAY 2 PLAY』をKAAT神奈川芸術劇場の舞台で観た。
この作品は6年前に初演された。今回は「干渉する次元」というサブタイトルが新たに付けられた改訂版再演だ。この初演時からNoismで踊り続けているダンサーは、井関佐和子ただ一人となったそうだ。ということは金森、井関以外のメンバーは、『PLAY 2 PLAY』を踊ることによって、Noismの過去と対峙することになる。
スタッフは「空間」を田根剛が作ったのだが、これがこの作品の大きな特徴となっている。音楽はトン・タッ・アン、衣裳は三原康裕、堂本教子。

tokyo1402f_01.jpg 撮影:篠山紀信

全面半透明の鏡のようなアクリルの高い三角柱を9本舞台上に立て、その柱は舞台上をしきりに移動し、三面はそれぞれが開く。三面すべてを開くと舞台上を、大きな鏡が彎曲した横断幕のように遮ることになるし、三角柱のまま並べても鏡の屏風状の区切りができる。前半のダンスはこの前と後ろで踊られる。舞台を挟んで両側に客席が設えられていて、観客はアクリルの三角柱の変化する間から対面の観客を背景として見ることになる。また一面だけ開いて並べると三角の山の部分がと平らな面がパーツとして連なる。その1個所からダンサーたちが出入りし、三角の山の中にダンサーが入ると、照明の具合によってぼやけて見えて実体を失う。
ダンサーたちの裏側と表側の出入りはかなり頻繁に行われるが、井関佐和子はほとんど表側で踊る。井関はノイズムというカンパニーの「精」か、あるいはノイズムというカンパニーの理想を象徴する存在とも見えた。金森穰は冒頭と要所に黒いスーツ姿で現れ、井関と踊る。踊るといっても、「不在の男」あるいは「他者としての想念」と自ら表明しているので、実体を感じさせない、フィジカルな身体を否定するような動きだった。

tokyo1402f_07.jpg 撮影:篠山紀信

後半は三角柱を中央にまとめ、蛇腹で円を作り、その中に10人全員(金森を除く)が入り、蠢くように動く。そこから井関が這い出してくるなど、井関対その外のダンサーたちという構図が多くなる。そしてついには9本の三角柱はすべて舞台から掃け、舞台が明るくなる。まるでカンパニー全体に介在した夾雑物が、すべてとりはらわれたかのような雰囲気となる。
それぞれのダンサーの動きはいつもの金森流の美しさをみせるが、全体の流れは後半に一種、グロテスクな相貌を見せる。そしてこのグロテスクなカオスをダンサーたちが体験し、新しい自分を発見していくことになるのだろうか。
常にダンサー自身を映し続ける鏡面が創る空間が、自在に変幻するダイナミックなダンスだった。
(2014年1月24日 KAAT神奈川芸術劇場)

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tokyo1402f_08.jpg 撮影:篠山紀信(すべて)