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世界最大規模のコンペティション12年ぶりに東京で開催!「Youth Grand Prix 2026 JAPAN(YGP JAPAN)」記者会見リポート

ワールドレポート/その他

小野寺 悦子

世界最大規模の国際バレエコンクールYAGPが、この秋12年ぶりに東京開催「Youth Grand Prix 2026 JAPAN(YGP JAPAN)」を実現。10月1日~10日まで立川各所を舞台に予選が繰り広げられ、10月11日にはジュニア・シニアのファイナルラウンドが、さらに10月12日にはBunkamuraオーチャードホールで「YGPオーチャード・ガラ」が上演される。

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村山正道、熊川哲也、ラリッサ・サヴェリエフ © TACHIHI

東京開催を記念して先頃記者会見が開かれ、特別協賛の(株)立飛ホールディングス代表取締役社長の村山正道、一般財団法人熊川財団代表理事の熊川哲也、そしてYAGP共同創設者のラリッサ・サヴェリエフとゲナディ・サヴェリエフ夫妻が登壇。YAGPとYGP東京開催について意義を語った。

「YAGPはラリッサ・サヴェリエフとゲナディ・サヴェリエフ夫妻により、1999年に初めて開催されました。サヴェリエフご夫妻とは初めてお会いしましたが、なぜか古き良き友達のような感覚があり、とても不思議なご縁を感じています。というのも、彼らがYAGPを創設した1999年、時を同じくしてK-BALLET TOKYOを創設しました。同じ時期に同じ志を持って組織を作ったということで、非常に感慨深いものがあります。この27年間、愛と情熱と努力をもって走ってこられた。子供たちの教育、発表の場の提供、留学サポートなど、将来のバレエ文化・芸術文化への熊川財団とYAGPの方向性の共通点を強く感じます」と、熊川哲也は想いを述べた。

ラリッサ・サヴェリエフとゲナディ・サヴェリエフ夫妻にとって、日本は特別な国だと話す。
「私がボリショイ・バレエ・アカデミーの生徒だった頃、初めて来たのが日本です。日本は私にとってすごく特別な国であり、YAGPの国際的な発展を始めるにあたり最初にアプローチした国が日本でした。現在15カ国でYGPを開催していますが、日本はやはり一番好きな国です。日本人の芸術や教育に対する情熱を強く感じています。若き日本人ダンサーの方々が我々に信頼をもって将来を託してくれていて、私たちもそれを大切にしています」とラリッサ。

ゲナディも「20年以上日本という国と関わってきましたが、他の国と比べてすごくバレエに対する情熱や愛を持っている国だと感じます。何より日本人の参加者のみなさんは、集中力や成長意欲を常に高く持ってアプローチしてくれる。それは非常に喜ばしいことだと考えています」と日本開催への想いを口にする。

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熊川哲也 © TACHIHI

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ラリッサ・サヴェリエフ、ゲナディ・サヴェリエフ © TACHIHI

Youth Grand Prix(YGP)は日本を含む世界各地で行われている予選の名称で、各地の予選で上位入賞した生徒たちが、総本山であるアメリカでの決戦(YAGP)に進む。
現在YGPは北米255か所のほか、オーストラリア、スペイン、ブラジル、フィリピン、シンガポール、フランス、イタリア、日本、韓国など世界各地で開催され、毎回1万人を超えるダンサーが参加。予選大会の中でも最大規模であり、高いレベルを誇るのがこの日本大会だ。ラリッサがその理由と影響力を分析する。
「日本人の参加者のみなさんは、集中力と成長意欲がある。それが好成績につながっていると思っています。もちろんその影響は他の国の方々にも及んでいます。例えるなら富士山のようなもの。日本人参加者がトップにいて、それを追いかける形で一生懸命努力をして参加している他の国の方々も多いと思います」

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過去受賞者によるパフォーマンス © TACHIHI

日本予選の初開催は2002年の札幌で、以来数々のプロダンサーを輩出してきた。
「僕が思っている以上に出場経験があるダンサーが多かったので、ちょっとびっくりしました」と熊川が言う通り、飯島望未、岩井優花らK-BALLETのトップダンサーのほか、永久メイ、オニール八菜、五十嵐大地、前田紗江、三宅啄未、栗原ゆう、中島耀、アクリ士門、福士宙夢など、世界の名門カンパニーで活躍するダンサーも多い。

立川での開催は今回が初となり、TACHIKAWA GRAND GARDEN はじめ立川市内各所で予選が行われている。
立川の印象を「太陽が似合う街」と熊川。「子供たちにとっても、自然の多さなど立川の環境は素晴らしい。1000人の子供たちが集まり、2週間という時間を過ごす。そのためにも大きな規模の場所が必要で、村山社長にご相談させていただきました」

「熊川さんからかなり猛烈にオファーをかけられました(笑)」と言うのは村山社長。立飛ホールディングスは航空機製造を前身とした立川に続く老舗企業で、立川の街の発展と子供たちの育成に期待を寄せる。
「次の世代を担う子供たちに、芸術、文化、スポーツなどいろいろな経験をさせてあげたい。世界的な舞台芸術イベントが立川で開催されるのは、街の活性化のためにも喜ばしいことであり、我々にとってもありがたい取り組みです。この子供たちの中から世界で活躍するダンサーが出るよう我々も応援したいし、みなさんにも応援していただきたい」

Bunkamuraオーチャードホールで開催されるガラ公演「YGPオーチャード・ガラ」には、YAGP出場者でマリインスキー・バレエの永久メイに、ハンブルク・バレエのアレクサンドル・リアブコ、ボリショイ・バレエのドミトリー・スミレフスキーのほか、ロイヤル・バレエ・スクールやハンブルク・バレエ・スクール、ABT ジャクリーン・ケネディ・オナシス・スクールの生徒らが登場。世界のトップダンサーと次世代のダンサーたちが国を越え一堂に会す。
「コンクールで優秀な成績を残した子たちが世界にわたり、芸術文化を提供していく。それはすごく感慨深いこと。1000人を超える子供たちが切磋琢磨しながら素晴らしい時間を立川で過ごし、さらに名物のガラ公演を私たち熊川財団が主催させていただく喜びに満ち溢れています」と熊川。

ラリッサがYAGPの未来についてこう語る。
「我々の役目は、ポテンシャルある生徒のみなさんをその後のキャリアにつなぐこと。YAGPは目標ではなく、第1ステップという感覚で参加してほしい。YAGPで好成績を受賞すること自体が目標ではなく、さらなる次のステップの1つとして考えていただきたい。参加者のなかには実際にプロのバレエダンサーとしてキャリアを築かない方々も出てくると思いますが、我々は彼らに関するサポートも大切にしています。例えば大学受験をする際に、YAGPで受賞しながら同時に勉強に励んでいたという努力が評価されるなど、今後の価値につながればと思っています。最終的には教育が理念の原点としてあります。
これまでYAGPを27年間続けてきましたが、次の27年間をまた楽しみにしています。いろいろな苦難もありましたが、これからも挑戦していくつもりです。次世代の若いダンサーたち、これからキャリアを築いていく方々をぜひ温かい目で見守ってもらえたらと思います」

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© TACHIHI

【Youth Grand Prix Japan 2026】

2025年10月1日(水)~10日(金)
TACHIKAWA STAGE GARDEN ほか
10月11日(土)・12日(日)
Bunkamura オーチャードホール

【YGP オーチャード・ガラ】

2025年10月12日(日)15:00開演・18:30開演
Bunkamura オーチャードホール
https://www.bunkamura.co.jp/orchard/

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