ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From Tokyo <東京>: 最新の記事

From Tokyo <東京>: 月別アーカイブ

関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2013.11.11]

ヴァラエティ豊かな女性パワーの凄まじさ、森下×束芋のコラボレーション

森下真樹×束芋 青山円形劇場
『錆からでた実』森下真樹:振付、束芋:美術、きたまり、川村美紀子、森下真樹:出演

コンテンポラリー・ダンスの森下真樹が振付け、現代美術家の束芋が美術を担当し、きたまり、川村美紀子、森下真樹が踊った『錆からでた実』をみた。生年月日、血液型、出生地が同じという森下真樹と束芋が構想を創った。確かに二人のセンスは合っていて、独特のヴィジュアルが舞台に現れていた。

tokyo1311g_0046.jpg photo:塚田洋一

3人のダンサーはそれぞれ別々に活動していたが、一堂に会して、元気のエネルギー溢れるパワフルな舞台を見せた。久しぶりに女性パワーのヴァラエティ豊かな凄まじさに出会った。感心したのは、4人が、音楽の粟津祐介を含めると5人すべてが、特徴と実力を出し切っていたこと。そして4人の女性に通底する可愛らしさ!!を充分に味わうことができた。これもまた希有の体験というべきだろう。
開演前から幕を描いたアニメーションがスクリーンに映されていて、白い鳩が飛び出したりしていてので、多分三人の可愛いダンサーが踊り始めるんだなどと空想していたので、強烈な出会いにいささか驚き、少しショックも受けたが、なかなかアメージングな舞台だった。

始まりは上半身はシルエットで見せ、2本3組計6本の生脚がコケティシュに動いて観客を挑発。スクリーンが上がると3人ともにお腹がプックリと膨れたヒヨコルック(?)だった。踊りながらそれぞれが卵の殻を脱ぐようにあるいは引き摺ったまま、かなり激しいパフォーマンスを見せた。
テーマ曲「あいまいな境界」が歌われ、東京オリンピックが決まって、ここ(青山円形劇場)なくなるんだって、といって呟いた後、聖火ランナーのように走り回ったり。バリカン付きのシェーバーで自分の髪の毛を刈り上げていたが、これには確か6公演あったはずだが‥‥と心配になった。この役は私は初めてだが噂に聞く川村美紀子だった。登場した時はぼーっとしたキャラクターを装っていたが、次第に強烈な個性を放つ。そのすさまじさは場内を一瞬シーンと静まり返えらせ唖然とさせた。
一方、きたまりは関西出身らしく、時には関西弁丸出しで二人に徹底的に毒づき、小柄な自分を舞の海にたとえて「猫騙し」を使って見せるなど大活躍した。そして森下は要所要所で自分の踊りを見せて3人の関係の要の役目を努めた。
ラストでは3人が3人とも日常性をかなぐり棄てて、清らかな白い衣装に身を包んで、円形劇場の構造を活かして踊りきった。3人の踊る気持ちが相乗効果を発揮して、大輪の花が開いたのを観た、そんな気がしたのだった。
(2013年10月26日 青山円形劇場)

tokyo1311g_0011.jpg tokyo1311g_0023.jpg
tokyo1311g_0030.jpg tokyo1311g_0038.jpg
tokyo1311g_0040.jpg tokyo1311g_0053.jpg
「錆からた実」photo:塚田洋一