ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2013.05.10]

日本古来の楽器とフラメンコにより鍵田真由美が踊った圧巻の『狂い〜シギリージャ』

ARTE Y SOLEA desnudo vol.10
「鼓童×FLAMENCO」 鍵田真由美・佐藤浩希:出演・振付・演出

鍵田真由美と佐藤浩希のARTE Y SOLERAがdesnudoのvol,10として、「鼓童×FLAMENCO」を上演した。鼓童からは吉井盛悟、坂本雅幸、前田剛史が参加して、大太鼓、小太鼓、胡弓、奄美琴、横笛を奏し、さらにスペインから招聘したカンテ、ギターが加わり、ARTE Y SOLEAのフラメンコ・ダンサーと豪快なコラボレーションを展開した。

tokyo1305d_01.jpg Photo: Hiroyuki Kawashima

日本の伝統的な楽器が創る音楽とフラメンコは、特に太鼓のリズムとサパティアードや手拍子などのフラメンコの音楽表現とが、まるで昔から行われていたように親和し、横笛や胡弓、奄美琴から奏でられる哀調を帯びたメロディーは、フラメンコのカンテと身体の深奥で共振しているかのようたな趣があった。鼓童の奏者たちの若衆姿と着物地をアレンジしたと思われるフラメンコのドレスが混交して踊り、決して広くはないのたが、じつに濃密な音楽とダンスの空間が現出したのには驚かされた。
10曲が踊られたが,フラメンコのカンテとギターで踊られたのは2曲だけ、そのほかは日本の伝統的な音楽をアレンジしたものが中心だった。
日本人がフラメンコの公演をする場合は、ほとんどスペインから音楽家を呼んでいる。しかし今回の舞台は、日本の伝統的な民衆によって継承されてきた音楽と、国は遠く離れ民族は異なっても、同じように民衆によって継承されてきたフラメンコとのコラボレーションによって踊った。この二つの芸術に通底するものを、日本人フラメンコ・ダンサーの踊りによってが観客は感得したに違いない。
そして、圧巻は最後に上演された『狂い〜シギリージャ』(作曲/吉井盛悟)だった。私は見逃してしまったが2010年に制作した『道成寺』だという。
蛇に暗喩された恋する女の執念を二つのパートに分けて鍵田真由美が凄絶に踊りきった。金襴と黒の衣装を着けた鍵田が鋭く岩をも砕かんばかり踊りで、クライマックスは波状的に迫力のある踊り。そして化身になってからもいっそう激しく踊って、ついには撥を振う大太鼓鼓手の支えになるようなポーズになり、会場は大いに盛り上がった。
(2013年4月16日 MUSICASA)

tokyo1305d_02.jpg Photo: Hiroyuki Kawashima tokyo1305d_03.jpg Photo: Hiroyuki Kawashima
tokyo1305d_04.jpg Photo: Hiroyuki Kawashima tokyo1305d_05.jpg Photo: Hiroyuki Kawashima
tokyo1305d_06.jpg Photo: Hiroyuki Kawashima tokyo1305d_07.jpg Photo: Hiroyuki Kawashima