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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2012.02.10]

ゆかしい雰囲気を感じさせた島添亮子と藤野暢央、スキーピング版『ジゼル』

コラッリ、ペロー 原振付、メアリー・スキーピング復元振付・演出、イルムガルド E・ベリー 監修『ジゼル』
日本バレエ協会

2012都民芸術フェスティバル参加作品として日本バレエ協会がメアリー・スキーピング復元振付・演出による『ジゼル』を上演した。スキーピングは英国に生まれ、マシーンやイジコフスキー、ノヴィコフ、エゴロワなどに学び、1925年にコヴェント・ガーデンで行われたアンナ・パヴロワ・バレエ団の『ジゼル』公演に参加している。その後はスペシフェツエワの『ジゼル』公演に参加したり、王立スウェーデン・バレエでも『ジゼル』を演出した。あるいはまた、ジャック=ダルクローズ、ヨースやラバンなどに学んでいる。そして1971年ロンドン・フェスティバル・バレエ(現イングリッシュ・ナショナル・バレエ)のために、『ジゼル』を発表した。
今回上演されたバレエ協会の『ジゼル』は、スキーピングと共同研究も行った継承者のイルムガルド E. ベリーが監修している。

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酒井はな/黄凱、島添亮子/藤野暢央、下村由理恵/佐々木大というトリプルキャストが組まれていたが、私はは島添亮子と藤野暢央で観た。
島添は一連のマクミラン作品を踊った後に、それらの舞台を集成するように大作『マノン』全幕を主演するなど、近年はとても良い活躍をみせ、日本のバレエ界にも大きな刺激を与えていると思われる。難曲を踊りきった自信もあるのだろうか、とても楚々とした静かな踊りの中に美しい情熱を秘めて踊った。
第一幕では心から楽しそうにロイスと踊る。腕を優しく添えるように組んで、軽やかにパートナーの気持ちを包むようにステップを踏む。この古風なゆかしい風情を感じさせる印象は、バロックを研究し初演時のディティールを大切に復元したスキーピング演出の効果の現れでもあるのだろう。第二幕では一度は激しく裏切られ死にまでいたったのだが、アルブレヒトの厳しい悔悟の念の中に真実の愛があったことを知ると、ウィリーの女王ミルタ(平尾麻美)の命令にも逆らってアルブレヒトの魂を身を持って守る。ここでも島添は強い清らかな意思を示す見事な表現を美しく踊った。
アルブレヒトに扮した藤野も貴族ではあるが、ジゼルとの楽しい語らいの中で心に宿った純朴な、しかし気高い精神を懸命に表して踊った。主役のペアがスキーピンの演出意図を慮って深い理解を示したパートナーシップをみせた舞台だった。
(2012年1月21日 東京文化会館)

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