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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2011.03.10]

エストニアのバレリーナ、アレナ・シュカトラが踊った美しいオデット

安達哲治:演出・振付『新・白鳥の湖』
NBAバレエ団
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NBAバレエ団の『新・白鳥の湖』は、ゲストのエストニア国立バレエ団のプリンシパル、アレナ・シュカトラがオデットを踊り、同じくマクシム・チカルヅョヴがジークフリートを踊った。
アレナ・シュカトラはベラルーシのミンスク・バレエ学校出身で、ベラルーシ国立バレエ団でもプリンシパルだったが、2008年にエストニア国立バレエ団に移ったそうだ。主要な古典バレエ作品の主役を踊った経験があり、スラリとした長身でプロポーションは文句のつけようがない。ブロンドの美貌で小顔、オデットを踊るために生まれてきたような雰囲気を持つバレリーナだった。

演出・振付は芸術総監督の安達哲治。「親子で楽しめるバレエ」を目指した『新・白鳥の湖』である。
プロローグは、美しい王女オデットが悪魔ロットバルトによって、白鳥の姿にされるところにジークフリートが遭遇するシーン。ここに居合わせた二匹のカエルが物語展開のお手伝いをしてくれる。
カエルたちは、特に決まった役割があるわけではないが、登場すると雰囲気がなごやかになったり、そのシーンの情感を強調してアピールしたりする。そして親子でバレエを語る時には話題ん提供してくれることにもなる。実際、隣の席からも「あれカエルさんだよ」と囁く声が聞こえてきた。
安達版ではジークフリートは、婚約者を決める宴にオデットを招いてお披露目する予定になっている。一方、ロットバルトは捕らえたオデットに結婚を迫り、拒否されると無理矢理閉じ込め、娘のオディール(19日は加登美沙子)をオデットに化けさせてお披露目の宴に向う。そして宴の最中にジークフリートを欺いて、偽りの愛を誓わせる。ちょうどそこに、カエルたちの助けを借りて脱出して宴に駆けつけたオデットは、そのありさまを見て絶望し、死を覚悟する。ジークフリートは激しく悔いて許しを乞うが、二度と人間の姿に戻ることのできないオデットは湖に身を投げる。ジークフリードも後を追い、二人は死によって永遠の愛で結ばれる‥‥。

ストーリーは具体的に因果が示されて分かり易くなっている。第3幕の通常ディヴェルテスマンとして踊られる踊りを、各国の大使が花嫁候補を伴って参上し、ハンガリーはチャールダッシュ、ロシアはルースカヤ、ポーランドはマズルカを、それぞれの国の花嫁候補が魅力を発揮するために踊る。理にかなった演出だが、まだ初演で踊り込まれていないため、少々ぎこちなくみえてしまうまところも見受けられた。
注目すべきはアレナ・シュカトラのオデット。美しい肢体を活かして情感を漂わせつつ踊った。印象深い舞台だったと思うが、長い手足を持て余しているようにみえてしまう部分もあった。さらに経験を積めば、いっそう美しいオデットを見せてくれることだろう。
(2011年2月19日 ゆうぽうとホール)

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