ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2011.01.11]

リゲティの曲とともにコズミックな幻想空間を創出した勅使川原のダンス

勅使川原三郎 演出・振付・美術・照明『SKINNERS----揮発するものに捧げる』
フェスティバル/トーキョー

勅使川原三郎の『SKINNERS---揮発するものへ捧げる』がフェスティバル/トーキョーの一環として上演された。勅使川原三郎は演出、振付、美術、照明を手掛け、佐東利穂子他とともに踊った。

舞台前面にはピアノの鍵盤を想起させるかのように、スティールの糸に吊るされたスティックが規則正しくならべられている。下手の側面は二重の半透明の白い幕がゆるやかに垂れている。上手には小さな椅子やテーブルがランダムに配置され、それぞれにダンサーが死んだようにくずおれている。
フロアーの中央に天からの照明により正方形が描かれ、リゲティのピアノ曲とともに勅使川原のソロが始まった。全編にわたって激越なノイズが時折コラージュされた凄絶なリゲティのピアノ曲、オルガン曲がおよそ20曲も響き、勅使川原が構成した正方形を組み合わせた照明と、勅使川原、佐東利穂子を中心とした5名のダンサーが、速いテンポで出入りを繰り返しながら踊った。
動きは激しく痙攣するような幻惑的なもの。時折大きなステップが入るがどちらかといえば上半身が中心である。中盤から終幕に踊られた勅使川原のソロが圧巻だった。衰えを知らない鋭い動きで、リゲティのピアノやノイズの大音量と鮮烈に拮抗してありあまるエネルギーが感じられた。

クライマックスでは、下手に設えられた二重の半透明の白い幕に淡いブルーの照明を当て、緩やかな風が送られて、勅使川原独特のコズミックな非常に美しい幻想空間が現れ、観客は目が醒めるかのようトリップを味わった。
ダンスはもちろん振付・演出・美術・照明とクリエイトの総てをコントロールする勅使川原の特権的威力をいかんなく発揮した絶妙のシーンである。総てにわたって綿密に計画された洗練された舞台だった。
(2010年11月28日 東京芸術劇場 中ホール)

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写真:(C)Jun Ishikawa
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