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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2010.12.10]

小牧正英が日本初演した舞台の雰囲気を残す『コッペリア』

佐々保樹:演出・振付、酒井正光:振付『コッペリア』
東京小牧バレエ団
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『コッペリア』は1947年に東京バレエ団によって日本初演された。小牧正英の振付・演出で、スワニルダは貝谷八百子と谷桃子、フランツは小牧正英、コッペリウスは青山圭男というキャスティングだった。
今でこそバレエ『コッぺリア』はあちこちのバレエ団で上演されているが、1947年に東京バレエ団が日本初演した頃には、その舞台の全幕をイメージできたのは上海バレエ・リュスで踊った小牧正英だけだった、といっても過言ではないだろう。エリアナ・パヴロワが1幕仕立てにしたものを上演したことがあると彼女の弟子だった藤田繁が、この公演のプログラムに採録された初演当時の座談会で報告している。他にも執行正俊が上演を試みたともいわれるが、その程度しか知られていなかったということである。

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2011年には小牧正英の生誕百年を迎える東京小牧バレエ団は、初演の雰囲気を大切にして上演することを心がけたという。
演出・振付は小牧版でフランツを踊った経験のある佐々保樹、やはり振付に酒井正光。フランツ役は2002年のヴァルナ国際コンクールでグランプリを受賞した呂萌(中国、遼寧バレエ団)、スワニルダには昨年のバレエ・アステラス公演で踊った遼寧バレエ団のプリンシパル、長崎真湖、そしてコッペリウスにはベジャール作品などを踊って国際舞台で活躍したヴェテラン、夏山周久である。
呂萌と長崎は息の合ったコンビネーションで恋人たちのやりとり楽しく演じ踊った。夏山もさすが、と思わせる魅力的な舞台姿で、観客を喜ばせた。
第2幕のコッペリウスの仕事部屋のシーンでは普通、上手の側面に設えることの多いコッぺリアの隠し場所を、やや下手より正面に設えてコッぺリアに対するスワニルダの演技が観客に見えやすくなっていた。初演の舞台美術を担当した三林京太郎が残したデザイン画からもそうした配置だったことが見てとられた。
第3幕は、プログラムに掲載されている小牧正英の1948年の言葉によると、本来はギリシャ劇の様式で上演されるものだった、と書かれていた。そうすると、第1幕の村の広場の日常的情景と第2幕のコッペリウスの仕事場、そして第3幕は共同体の儀式の様式的なシーンということになり、非常にバランスのとれた構成になる。やはり、今日の舞台で上演するためにも初演した振付家の趣旨を理解することは、たいへん重要なことだと理解することができた。
(2010年11月13日 新宿文化センター 大ホール)

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撮影:飯田 耕治
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