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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2010.11.10]

象徴的な動きを駆使して巧みに踊った志賀育恵の火の鳥

オーケストラwithバレエ:ストラヴィンスキー作曲バレエ組曲『火の鳥』1919年版
東京シティ・バレエ団
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毎年開催されてきた東京シティ・バレエ団と東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団のコラボレーションによる「オーケストラwithバレエ」は、今年で16回目を迎えた。オーケストラとバレエダンサーを同じ舞台に載せて、音楽とバレエの魅力を同時に味わおうという企画である。

まず、シベリウス作曲の『フィンランディア』と、ヴァイオリニスト石亀協子をソリストに迎えてチャイコフスキー作曲の『ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品35』が、飯守泰次郎の指揮により東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団によって演奏された。
休憩の後、指揮者の飯守泰次郎と振付家の石井清子が今回の公演についてのステージトークを行った。
そしてバレエ組曲『火の鳥』1919年版の上演。『火の鳥』は1910年にディアギレフの依頼により、バレエ・リュスのためにストラヴィンスキーが作曲したロシア民話に基づいたバレエ曲。バレエはミハイル・フォーキンが振付け、パリ・オペラ座で初演され大成功を収めた。今回上演されたものは、オーケストラの編成を少なくし、六つのシーンで編成したバレエ組曲『火の鳥』である。
石井清子が構成・振付けている。ちなみに『火の鳥』は1951年に谷桃子主演で日本初演されたが、57年には石井清子の主演により再演されている。

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今回は火の鳥は志賀育恵、イワン王子は春野雅彦、王女は若林美和、魔王カスチェイは青田しげるというキャストで上演された。
ストーリーはシンプルなハッピーエンドだが、火の鳥を始め魔王カスチェイやその手下たち、囚われの王女、あるいは巨大な玉子などイメージ豊かでヴァラエティに富んだ登場人物や小道具が非常に魅力的。そして同じステージの上にオーケストラがのって、踊るダンサーとともに演奏すると、やはりその一体感は心に響く得難い印象を残す。
開幕前のステージトークでストラヴィンスキーの音楽の持つ豊かな色彩感を強調したこともあって、ロシア特有の赤やゴールドを際立たせた衣装が一段と映えた。
火の鳥を踊った志賀育恵は豪華に踊って華やかに舞台を盛り上げた。鳥の動きを巧みに織り込んで、ロシアの森の神秘を象徴する存在を見事に表す演技とダンスだった。
このバレエ団は、こうした隠れたバレエの魅力をフューチャーするアレンジメントがなかなか上手い。スタッフやメンバーがバレエを愛し、ディテールにいたるまで良く理解しているからだろう。
(2010年10月3日 ティアラこうとう 大ホール)

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撮影:中岡良敬
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