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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2010.08.10]

志賀育恵と黄凱の華やかなパ・ド・ドゥ、石田種生版『白鳥の湖』全4幕

石田種生 演出・振付『白鳥の湖』
東京シティ・バレエ団
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東京シティ・バレエ団は1968年に創立された。その後1994年に東京都江東区と芸術提携を結び、ティアラこうとうで年間4演目を上演するほか様々な地域活動にも活発に参加している。
東京シティ・バレエ団の創立者のメンバーの一人でもある石田種生の演出・振付による『白鳥の湖』全4幕は、江東区と芸術提携が結ばれてからこの地で4回目の上演である。こうしてバレエ団と地域の交流が深まり、次第にバレエが定着していく様子が感じられることは大いに喜ばしい。

『白鳥の湖』は、「王子ジークフリードの青春を描いた」バレエだ、と石田はいう。王子として育てられたジークフリードが、恋に陥り、恋人を裏切る過ちを犯して自我に目覚め成長していく、オデット、オディールに目を奪われがちだが、じつは青年が主役の物語だというのである。
その演出・振付の趣旨が第4幕によく現れている。
うすいブルーのもやった照明の中、まず、白鳥のコール・ドの舞台全面を大きく使った伸縮自在のフォーメーションが展開する。第2幕では整然としたシンメトリーのフォーメーションだったが、ここでは舞台中央の中心点から解放感を表すかのように、白鳥の集団が大きく流動していく。そして二人の愛を謳い、囚われた白鳥全員の力で果敢にロットバルトを攻撃し、音楽の盛り上がりと共に呪縛を破砕する。力強さのある舞踊構成だった。そして全員が人間の姿を取り戻し、舞台はカタルシスに包まれる。
このバレエの結末は、悲劇が優れているのかハッピーエンドが有効なのか意見の分かれるところだが、石田の演出・振付は、作品全体の流れの中に青年ジークフリードの強い意志をはっきりと浮かび上がらせて説得力があった。

オデット/オディールを踊った志賀育江は正確な踊りで、プリマとして女性の二つの面をしっかりと踊り分け、舞台を完結させる実力を備えていることを証明した。ジークフリードに扮した黄凱は動きをやや抑え気味にして、逆に大きな深い意味を与えようとして、かなりの成功を収めていた。この二人の黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥは華やかでシャープ、リフトも効果的で喝采を浴びた。全体に、飛び抜けてスケールが大きいわけではないが、しっかりと引き締まった見応えのある舞台だった。
(2010年7月17日 ティアラこうとう大ホール)

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撮影:寺田真希
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