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佐藤 円 text by Madoka Sato 
[2009.10.21]

横浜マザーポートフェスティバルの「大地のジョイントパフォーマンス Dances of the Earth」

マザーポート・アート・フェスティバル2009
「大地のジョイントパフォーマンス」
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横浜を舞台に様々なアート活動を行っているマザーポートフェスティバルによるダンスプログラム「大地のジョイントパフォーマンス Dances of the Earth」。
日本とカナダの「先住民族アート」を紹介するというこの企画では、日本からはアイヌのダンスグループ、カナダからはカハーウィ・ダンスシアターが出演した。
ダンスパフォーマンスの前には、千葉大学教授の中川裕がアイヌ民族の基本思想について、カナダトレント大学のデイスター・ジョーンズがアメリカ先住民族の歴史とダンス文化についてのレクチャーを行った。

まず、アイヌ・レブルズのダンスは構成・演出を手がけた酒井美直を中心とした女性6人男性2人の8人グループ。全5曲を踊った。
衣裳はアイヌの民族的な柄が施された藍色で木綿地の着物風デザイン。女性の唇は黒く塗られていた。
オープニングは女性が円になって伏せているところから始まる。一人の女性がゆっくりと起き上がり、一人ずつ起こしていく目覚めのような構成だ。大地から生命が誕生する。そしてゆっくりとアイヌ特有と思われる膝を使ったステップを踏みながら円を描いて踊る女性たち。これは輪廻や仲間を表しているようだ。
勇者の舞では男性が剣を使って戦いに挑む様子を表現、次の曲では女性が長い髪を振り乱すことにより、風に木が揺れる様子を表す古式舞踊。音楽はロックテイストであるところに、若い世代のアレンジであることが感じられた。
最後にはアイヌ語「あなたは美しい」という意味の歌を披露し、心温まる舞台が終了した。
 

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カハーウィ・ダンスシアターはその名も『Kaha:wi』という作品を上演。モホーク族の言葉で英訳すると「to carry」「運ぶ・継承する」といった意味があり、ダンスとしては元々誕生を祝う意味を持つそうだ。
伝統文化をテーマにして、先住民族独特のプリエをしたまま足踏みをするようなステップを盛り込みながらも、きちんとした現代を感じるコンテンポラリー・ダンス作品となっていた。
太古の使者が見守る中、始めに生命の誕生、起源。生成の布をまとった女性ダンサーが大地=胎内で身体を丸めているかのような動きから手足を伸ばし誕生を感じさせる。
女性ダンサー4人が表現する魂の踊りはダイナミックかつ暖かい女性らしいダンスである。オレンジや紫といった色とりどりのワンピースは後ろがロング丈のスカート、前は膝丈になっていてスリットが入っているので足のラインが良くわかる。四股を踏むような力強いステップを踏むのに踊りやすそうなデザインだ。
男女の愛を表す美しいデュエットがあり、続いて新しい世代の誕生と親子の愛、最後に魂は次の世代に継承されていく、といった内容であった。
全員で踊るシーンは力強く、モホークの女性の強さ、美しさ、豊かさを感じる作品だった。

なかなか触れる機会の少ない先住民族に特化したダンスイベントで、新しいダンスシーンを見ることができた。今後も異なる地域のダンスを紹介して貰いたい。
(2009年10月3日 横浜赤レンガ倉庫/撮影:岩崎明久)