ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2009.08.10]

多彩なゲストを迎えてNBAバレエ、ゴールデン・バレエ・コースター・ガラ

ゴールデン・バレエ・コースター・ガラ
NBAバレエ団

隔年開催で、特色のあるダンサーが招かれることで知られる<ゴールデン・バレエ・コースター・ガラ>の第9回公演が行われた。
オープニングは、主催のNBAバレエ団の芸術監督でもある安達哲治振付による『ライジング・スターズ』で音楽はグノーの『ファウスト』から。NBA全国バレエコンクールのファイナリストの男性17名が登場して、白い衣裳にグリーンのベルトを付けて踊る、なかなか晴れやかな祝祭ムード溢れる舞台だった。

一曲目は、ヤニーナ・パリエンコとアレクセイ・コリャーギンのボリショイ・バレエのペアが『フーガ』を踊った。始まりは現実音だったがやがてバッハの曲となる。モダンな動きで男性と女性の心の機微を表していた。
マリインスキー・バレエ団のファーストソリスト、エフゲーニャ・オブラスツォーワとNBAバレエ団のプリンシパル、ヤロスラフ・サレンコがプーニ音楽、プティパ振付の『サタネラ』を踊った。オブラスツォーワはちょっとふっくらしたようにも見えた。なかなか華やかな動きのある演目で見応えがあった。サレンコもよく踊ったが、踊り慣れていないためかコンビネーションはもうひとつだった。
そしてソーサ音楽、バランシン振付の『スターズ&ストライプス』は、コロラド・バレエのプリンシパル同士のペア、シャロン・ウェナーと久保綋一が踊った。ウェナーは優雅で雰囲気のある素敵なダンサー、久保の切れ味ある動きが休憩前の前半最後の舞台を引き締めた。

後半はショパン音楽、ロビンズ振付の『アザーダンス』で開幕。ニュ−ヨーク・シティ・バレエ団のプリンシパル、アシュレイ・ボーダーとヒューストン・バレエのプリンシパル、サイモン・ポールが、コジェワートフのピアノ演奏にのせて踊った。最初はスローな二人の踊りから伸びやかなソロ。ショパンの曲の流れと微妙な関係を作るダンスで、ロビンズの流麗なダンスの構成に感心させられた。テープ音楽のなかではライヴ演奏のダンスが一段と際立つのは当然のことだが。
パリエンコとコリャーギンがコーガン音楽、ヤコブソン振付の『村のドンファン』を披露した。ヤコブソンらしい活き活きとしたダンスの形象が興味深い。特に男性の動きは味わい深かった。でも女性の頭のてっぺんをひっぱたく振りにはちょっと驚いた。
ドボルザーク音楽、チューダー振付の『葉は色あせて』はウェナーと久保のコロンビア・バレエ組。ウェナーは前回のガラでも素敵だったが、今回もクラシックでもモダンでも優雅な動きを見せた。
パリ・オペラ座バレエのプルミエ同士、ミュリエル・スズペルギーとカール・パケットは現役のエトワール、ジョゼ・マルティネス振付、ドリーブ音楽の『ドリーブ組曲』。起伏に富んだ音楽の流れをなかなか味のある動きで見せる。活発なステップで舞台上を動き回って豊かな形象を描く。リフトも多い凝った振付けだった。
キューバ出身のアディリス・アルメイダとABTで学んだジョセフ・ガッティの、コレーラ・バレエのプリンシパルとソリストのコンビは、アダン音楽、プティパ振付の『海賊』で観客を沸かせた。コレーラの薫陶なのか、観客を喜ばせるツボを心得た踊りで大いに盛り上げた。
最後の曲は、モルドバ国立オペラバレエ劇場クリスティーナとアレクセイのタランティエフ夫妻が、ミンクス音楽、プティパ振付の『ドン・キホーテ』を踊った。
そして安達哲治が振付けたモーツァルト音楽による『デフィレ・ドゥ・ラ・ダンス』が踊られ、NBAバレエのダンサーと海外のゲストダンサーが同時に舞台に立って幕が下ろされた。
さまざまなダンスがさまざまな国のバレエ団のダンサーによって踊られて、古典バレエの全幕物を観た時とはまた異なった、胸が浮き立つような感慨を抱いた公演だった。次回の第10回の節目公演が楽しみ。

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(2009年7月27日 ゆうぽうとホール / 撮影:鹿摩隆司)