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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2009.08.10]

ティボーと島田衣子が踊った井上バレエ団『シンデレラ』

関直人 振付『シンデレラ』
井上バレエ団
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井上バレエ団が関直人の振付、ピーター・ファーマーの美術による『シンデレラ』を、パリ・オペラ座バレエ団のプルミエダンスール、エマニュエル・ティボーをゲストに迎えて上演した。
シンデレラは井上バレエ団のプリマ、島田衣子だが、継母に芦川欽也、姉娘に堀登、妹娘には坂本登喜彦が扮するという豪華男性ダンサーがキャスティングされていて、盛んに会場を沸かせていた。

いじめられっ子のシンデレラ、衣子は、箒を持ってなかなか絵になるポーズを見せながら踊る。バレエの古い木版画のように雰囲気があって素敵だった。そしてなによりピーター・ファーマーの美術が素晴らしい。美しくロマンティックな香り漂っているかのよう。
仙女の登場も凝っているし、シンデレラが魔法で淑女に変身するまでのシーンはさらっと描いていて要領がいい。
王宮の舞踏会のシーンもいろいろと要素はあるが、よく整理されている。3人のコメディアンは控え目に、舞踏のシーンはアップテンポで幻想性が深まるし、<時のテーマ>も浮かび上がってくる。
王子とシンデレラが踊り始めると、周囲の人々が消え、王子のヴァリエーションになると再び戻ってくる。これは幻想と現実をさり気なく表し、魔法のリアリティというか現実の中に潜む魔法の時間を垣間見せる洒脱な演出となっていた。
第3幕はデヴェルティスマンがあり、ガラスの靴の所有者も見つかって、結婚式のセレモニーがさらっと描かれるだけなので、少々物足りない気がするかも知れない。
島田のシンデレラとティボーの王子の踊りは、豪華さが品よく感じられた。時を告げるリズムが大きな音で鳴り響いても離れ難く踊り続けていて、その王子の名残が次のドラマに上手く生かされた。ティボーは古典派らしい格調のある踊りだった。カーテンコールでは3人のコメディアンが雑巾がけをするサービスがあり、和気あいあいの良い雰囲気の中で幕が下りた。
(2009年7月19日 文京シビックホール・大ホール)

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