ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2009.06.10]

ベリーダンス・スパースターズの華やかで蠱惑的な"THE ART OF BELLYDANCE"

"THE ART OF BELLYDANCE"
ベリーダンス・スーパースターズ
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ベリーダンスは、アラブ文化圏を中心に踊られてきたダンスで、日本では最近まで、あまり馴染みはなかった。たとえば『くるみ割り人形』の中でデヴェルティスマンとして踊られる「アラビアの踊り」はベリーダンスを採りいれたものだし、ほかにも、女スパイでダンサーだったマタハリの踊り、モダンダンスの祖とも言われるルース・セント・デニスの舞台などにそのイメージを感じとることができる。
ベリーダンスは、アフリカ北部や中近東で踊られてきており、エジプトで踊られているもの(東方の踊りの意味でラクス・シャルキーといわれる)やトルコのハーレムで発展したターキッシュ・スタイル、アメリカに伝えられて様々なダンスの影響を受けたアメリカン・トライバル・スタイルなどがよく知られている。
今回来日したベリーダンス・スーパースターズは、ポリスやスティングなどを手掛けた音楽プロデューサー、マイルス・コープランドが、その魅力にに取り憑かれてプロデュースしたステージである。

このグループ唯一のシリア出身者だというイサーム・ハッサンのパーカッションにのせて、キラキラ輝くビーズが揺れるブラジャー風のトップスと、コインなどでまばゆく飾られた太めのベルト、動きにつれて脚が露になるハーレム・パンツやサーキュラー・スカートの女性ダンサーが、華やかにエロティシズムを発散して踊る。
bellyは「腹部」のことだが、基本的動きは細かいステップを踏みながら腰や胸をブラインドさせるもので、露出した上半身が美しく見えるように工夫された衣裳になっている。腰の動きはアフリカのダンスに由来すると思わせ、旋回はアラブのスーフィー・ダンスやインドの伝統舞踊カタックから影響を受けているようにも見える。

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トライバル・スタイルではこうした基本的動きに即興を加えたヴァリエーションを、リーダーのダンサーを中心として数人のコール・ドが踊ってそのアンサンブルを楽しむ形式。ヴェールを使ったダンスはロイ・フラーを想わせるし、ボリネシアン・スタイルをとり入れたものやポワントを使った踊り、さらにはブロードゥエイのダンスから借用したハットや椅子を使ったダンスやジムナスティックなアクロバット風、ミュージックホールの羽飾りを使ったダンスも採りいれられていた。
色彩もポップなカラーのものから、濃厚なアラブの柄を描いたものまで様々。
限りなく柔軟で際立って美しい身体が魅惑的な雰囲気を、波が寄せるように送り込んでくるので、遥かにハーレムの暮らしに想いを馳せたひと時だった。
スティングのツアーのダンサーを務めたり、ニュ−ヨークのラママのダンスドラマにも出演するなど女優としての顔も持つ、アドレの鮮烈な動きが会場を沸かせていた。
休憩時や終演後は、会場で販売されている衣裳やDVDに観客が殺到していて、最近の女性たちのベリーダンスへの関心の高さをうかがわせた。
(2009年5月15日 ゆうぽうとホール)