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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2009.06.10]

石井清子 振付『ジプシーダンス』ほか「ラフィネ・バレエコンサート」

「ラフィネ・バレエコンサート」
東京シティ・バレエ団

東京シティ・バレエ団は東京都江東区と芸術提携を結び、毎年、ティアラこうとう(江東区の公会堂)で、創作、古典、オーケストラwithバレエ、年末恒例の『くるみ割り人形』の4回のバレエ公演を行っている。この提携は1994年から始まって既に定着しており、そのほかの活動にも発展している。
そして東京シティ・バレエ団は一般財団法人となり、新たに安達悦子が理事長に就任し、新体制が発足した。さらに前理事長の石井清子は、地域に密接に関わりながら創作活動を活発に展開した功績により、第40回舞踊批評家協会賞を受賞した。
そうした中で開催されたラフィネ・バレエコンサートでは、古典と創作バレエ5作品が上演された。

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まず金井利久が再振付けした『パキータ』。文化庁の在外研修で滞在したオーストラリアから帰国して、初めて本格的クラシック・バレエに主演する志賀育恵がパキータ、黄凱がルシアンを踊った。志賀は軽やかでしっかりとした踊り、舞台全体を豊かにする実力をみせた。
続いてデュオが3作品上演された。
薄井友姫とKimBo Youn(韓国国立バレエ出身)は、中島伸欣が振付けた『フィジカル・ノイズ』の抜粋。Hybrids他の音楽を中島が構成している。既成の楽器を使わずにリズムを刻んでいる曲と、モダンダンスとコンテンポラリー、バレエの動きをバランスよく組み合わせて踊った。舞台の対角線上に照明を走らせ、男と女が距離を縮めたり離れたりしながら最後には抱き合う。シャープな感覚が漲るダンスだった。
志賀育恵とChoMin Young(韓国ユニヴァーサル・バレエ出身)は、団員の小林洋壱が振付けた『Without Words』。舞台下手の奥に男と上手の手前に女にそれぞれスポットを当てたオープニングで、マーラーの交響曲第5番「アダージェット」が流れる。全身を大きく使った動きで、身体の深部に宿る感情のコアを表す。舞台の空間を大きく使い、リフトもある思い切った大胆な動きときれいな流れにより言葉では表せない表現を創っていた。
橘るみと黄凱が踊った『ロミオとジュリエット』は、7月に東京シティ・バレエ団が全幕上演する新作の一部。背景に抽象的な光のオブジェを映し、ジュリエットとロミオが愛を確かめ合うバルコニーのシーンに相当するダンス。背景の光のオブジェが二人の情感と気持ちをきらめかせ合っているように美しく感じられた。

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最後は、石井清子が振付けた『ジプシーダンス』だった。
舞台の天からたくさんのレンガ色の布を垂らし、シプシー音楽風の5曲を使った豊かな色彩感覚が溢れでるようなダンス。ギターやヴァイオリン、バンドネオンなど様々な楽器がかき鳴らされて、じつに魅力的な音楽にのせて、男と女の微妙なアンサンブルが展開し、敏捷な動きと目まぐるしく変化する情熱的な表情が観客を魅了した。ラストナンバーの「黒い瞳」は、全員が入り乱れて踊るが、やがてそれぞれがカップルに収まるという、粋なエンディングだった。
(2009年5月17日 テアラこうとう大ホール)

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