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佐々木 三重子 text by Mieko Sasaki 
[2009.05.11]

東京バレエ団が18年ぶりにノイマイヤーの『月に寄せる七つの俳句』を上演

ハラルド・ランダー振付『エチュード』
ジョン・ノイマイヤー振付・装置・照明『月に寄せる七つの俳句』
フェリックス・ブラスカ振付『タムタム』
東京バレエ団
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東京バレエ団が、海外から人気の男性ダンサーを招いての『エチュード』と、18年ぶりの上演となった『月に寄せる七つの俳句』、打楽器の生演奏が不可欠の『タムタム』の3作品で公演を行った。バレエ団の創立45周年記念シリーズの第4弾で、いずれの作品も海外公演で既に高い評価を得ているものだ。
ランダーの『エチュード』は、チェルニーの練習曲にのせて、古典バレエの技を基礎から高度なものまで、ソロやパ・ド・ドゥ、アンサンブルなど、様々な形で見せる洒落た作品。チュチュ姿の女性が幕前で一回グラン・プリエをして幕の後ろに去ると、幕が開く。
足のポジションの確認に始まり、初歩的なバー・レッスンからセンターへと移り、高度なテクニックを駆使した、芸術性も高い踊りが展開された。「エトワール」を踊ったのは、上野水香とフリーデマン・フォーゲルとレオニード・サラファーノフ。ゲスト二人のすらりと伸びた脚が美しく、立ち姿だけでダンスール・ノーブルとしての資質をうかがわせた。フォーゲルはしなやかな跳躍や軽快な回転で、サラファーノフは瑞々しい跳躍やピタリと決まるフィニッシュで魅了。上野も端正な踊りで様式美を提示した。

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『月に寄せる七つの俳句』は、ノイマイヤーが月を詠んだ芭蕉や一茶の俳句から受けたイメージをダンスで表現したもので、ペルトとバッハの音楽を使用している。東京バレエ団が創立25周年を記念して依嘱した作品である。出演は「月」の木村和夫と「月を見る人」の高岸直樹と斎藤友佳理、「月を見る人」と「水面に映る夜空」の群舞のダンサーたち。左手に小舟の中で背後に映し出された月を見る高岸と、右手に群舞のダンサーたちが配された中、「月」の木村がステージの奥を横切る冒頭が俳句の世界への導入部。ボール遊びをするダンサーたちは、最初の句「赤い月 是は誰がのぢゃ 子どもたち」の場面だろうか。とりわけ印象深かったのは「小言いふ 相手もあらば 今日の月」で、高岸の亡き妻への想いに「月」の木村が呼応してユニゾンになり、これに斎藤が妻の霊として加わり、静謐なトリオが展開された。それぞれの句が内包するものを、詩情豊かに開いてみせたノイマイヤーの深遠な作舞は、俳句の持つ象徴性や奥深さに匹敵するものだった。
ブラスカの『タムタム』では、打楽器から叩き出されるリズムに鼓舞されるようにダンサーたちが踊った。ダイナミックなソロを披露した松下裕次をはじめ、左右から交互に勢いよく走り抜けるダンサーたちなど、若いエネルギーがはじけたようなステージだった。
(2009年4月18日、東京文化会館)

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