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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2008.08.11]

井上バレエ団創立40周年記念公演『グラン・パ・エスパニョール』ほか

  井上バレエ団が創立40周年、財団設立25周年、井上博文没後20年記念公演として、オーギュスト・ブルノンヴィルの『コンセルヴァトワール』『ジェン ツァーノの花祭り』パ・ド・ドゥ、セルジュ・リファールの『ヴァリアシオン』、関直人の『グラン・パ・エスパニョール』を上演した。井上が生前に愛した振 付家の作品が選ばれている。
ブルノンヴィル作品を継承しているデンマーク王立バレエ団と井上バレエ団との交流は、当時、デンマーク王立バレエ団のプリンシパルだった、フランク・ア ンダーソンがゲスト出演した1984年に遡る。今回は、デンマーク王立バレエ団から、アンダーソンと夫人のエヴァ・クロボーグが指導のために来日。さらに 夫妻の一人息子セバスチャン・クロボーグがゲスト出演した。
演目はブルノヴィル振付をアンダーソン、クロボーグが再振付した『コンセルヴァトワール』(パウリ曲)と『ジェンツァーノの花祭り』のパ・ド・ドゥ(ヘ ルステッド曲)。プログラムによると、『コンセルヴァトワール』は原作は、パリの音楽院のクラスの情景を描いた1幕とレストランを舞台として2幕で構成さ れたコミカルなバレエだが、近年は1幕のみのが上演されている。ここでブルノンヴィルは、舞踊史上有名な教師ヴェリトリスのクラスのアンシェンヌマンを再 現している、という。つまりはフランスのクラシック・バレエのテクニックのエッセンスをまとめた作品であり、ブルノンヴィルはここからさらに発展させて、 今日まで継承されているスタイルを作ったのである。
エリザ役の島田衣子とヴィクトリーヌ役の宮嵜万央里をバレエマスターに扮したトーマス・ルンが、コミカルなタッチを交えながら踊らせていく。ルンはデン マーク王立バレエ団のプリンシパルで、井上バレエ団にもしばしばゲスト出演している。さり気なくテクニックを披露しながら、巧みな表現力もみせた。

  リファール振付の『ヴァリアシオン』(シューベルト曲)は、リファールのアシスタントだったレオンヌ・マイルが再振付し、井上バレエ団に伝えた。その後に パリ・オペラ座でも復活上演された、という。今回は、ニナ・ヴィルヴォワにより井上博文に引き合わされたという、シリル・アタナソフが指導にあたった。こ の作品は、『パ・ド・カトル』と同じように、初演時の6人のバレリーナの名前がそのまま役名になっている。
ダルソンヴァル=田中りな、ラフォン=田川裕梨、バルタン=鶴見未穗子、ボサール=宮嵜万央里、ダイデ=小高絵美子、ヴィルボバ=藤井直子というキャスティング。リファールらしい古さを格調高く再構成した、たいへん雰囲気のあるダンスだった。
『グラン・パ・エスパニョール』(ミンクス曲)は、関直人が『ドン・キホーテ』をシンフォニックなバレエに再構成したもので、洒脱な印象の舞台だった。キ トリは島田衣子、バジルはパリ・オペラ座のプルミエダンスール、エマニュエル・ティボーがゲスト出演。島田とともに、明るく楽しくじつに軽快に踊り、その ほかのダンサーも闊達で客席も大いに盛り上がった。
(2008年7月12日、文京シビックホール)