ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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佐々木 三重子 text by Mieko Sasaki 
[2007.07.10]

ミラノ・スカラ座バレエ団 『ドン・キホーテ』

  ミラノ・スカラ座バレエ団が7年振りに来日した。演目はヌレエフ版『ドン・キホーテ』。ヌレエフが1980年に同バレエ団で手掛けたプロダクションで、以 来、繰り返し上演されている。今回は主役の2人に、英国ロイヤル・バレエ団のタマラ・ロホとアメリカン・バレエ・シアターのホセ・カレーニョ、東京バレエ 団の上野水香とマリインスキー・バレエ団のレオニード・サラファーノフ、そしてスカラ座バレエ団のマルタ・ロマーニャとミック・ゼーニという3組みのキャ ストが組まれていたが、初日のロホ&カレーニョを観た。

プロローグは、いかにも古めかしい造りの書斎で、ドン・キホーテがサンチョ・パンサを従えて旅立つまでをていねいに描く。演出に当たり、ヌレエフはコン メディア・デラルテを意識したというが、どくろの面を被った黒マントの男たちを登場させ、夢の中でドン・キホーテにドルシネアを垣間見せるようにしたの も、その一環だろうか。全体に、マイムを適度に織り込み、小技を加えたステップで楽しませながら、軽快に物語を綴っていた。

第一幕の広場では、後方にそびえる石造りの建物が重量感を与えていたのが印象的。颯爽と登場したロホは芯のあるキトリという感じで、バネの強いジャンプや安定したポアントを見せた。
カレーニョはスローな回転から始まり、足先のひねりを入れたステップを柔軟にこなし、溌剌としたバジル像を程よい調子の良さで演じた。デュオでは上げた脚 の高さや角度がピタリ合って気持ち良い。結婚式で白いコステュームに着替えてのグラン・パ・ド・ドゥでは、ロホが片足立ちでのバランスの保持や鮮やかな フェッテを、この上なく優美に披露すれば、カレーニョも流麗な跳躍や複雑なピルエットで応え、会場を沸かせた。
他のダンサーでは、ドリアードの女王を踊ったロマーニャの典雅な舞いや、ジプシーのアントニーノ・ステーラの凄みのある回転が目を引いたし、またジプシー たちの迫力ある群舞も見応えがあった。街の男たちが闘牛士たちに負けじと踊る所や、ドン・キホーテ(フランチスコ・セデーニョ)との決闘で負かされるガ マーシュ(ヴィットリオ・ダマート)の滑稽な描写はユニークに映った。ドン・キホーテの新たな旅立ちは冒頭ほど強調されず、キトリとバジルを中心にした賑 やかな群舞が舞台を埋めた。

(6月7日、東京文化会館)