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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2007.03.10]

新国立劇場バレエ、真忠久美子と山本隆之の『眠れる森の美女』

新国立劇場のレパートリーとなっている『眠れる森の美女』は、コンスタンチン・セルゲーエフの改訂振付によるマリインスキー劇場版である。美術・衣裳はシモン・ヴィルスラーゼ、エルマノ・フローリオが東京管弦楽団を指揮した。
プロローグからローズアダージョまでは、素晴らしい流れでほぼ完璧の舞台だった。フォーメイションに狂いは無く、コール・ド・バレエもポジションはきち んと正確であり、指先に到るまで狂いはない。踊り慣れた4日目の千秋楽で、プリンシパルもゲストではなく新国立劇場バレエ団のダンサーだった、ということ もあっただろうが、それにしてもじつにゆるぎない踊りの流れであった。

  特に、1幕の噴水、背後の森と花婿候補のポジションは、定番とはいえ『眠れる森の美女』らしい統一感のある美しさを醸し出した見事なものだった。それに比 べると、第2幕冒頭の森のシーンのフォーメイションが単純過ぎてもの足りないほど、1幕のヴィジュアルは優れて印象的だった。
真忠のオーロラ姫は、健気な感じが出て安定した踊りだった。ただ、さすがに長丁場、ラストのグラン・パ・ド・ドゥでは些か疲れていたかもしれないが、立派な舞台であり、観客も喝采で応えた。
山本はもう、余裕すら感じさせて堂々としていてしかもさり気なく王子を踊って見事だった。
マシモ・アクリのカラボスも良かったが、やはり、島添亮子のフロリナ王女が目を惹いた。柔らかいフィーリングで舞台にあえかな情感を漂わせ、踊り終った後にも余情を感じさせる数少ないバレリーナである。
近年観た中ではとりわけ優れた『眠れる森の美女』だった。
(2月4日、新国立劇場 オペラ劇場)

「眠れる森の美女」
真忠久美子、山本隆之