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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2007.03.10]

大島早紀子が演出・振付けたシュトラウスの『ダフネ』日本初演

 二期会がリヒャルト・シュトラウスの「牧歌的悲劇」と称されるオペラ『ダフネ』(全1幕)を、H・アール・カオスの大島早紀子の演出・振付により日本初演した。指揮は、R・シュトラウスのオペラを数多く日本初演している若杉弘。
『ダフネ』は1936年、ナチが支配するドイツのドレスデン歌劇場で初演された。オペラ台本は、アポロとダフネのギリシャ神話を題材としてヨーゼフ・グレゴールが書いている。


「ダフネ」

「ダフネ」

「ダフネ」

  自然を愛するペナイオスの娘ダフネは、幼馴染みのロイキッポスにディオニソスの祭りに誘われるが断ってしまう。しかし、牛飼いに姿を変えて祭りに現れた太 陽神アポロが、妹のアルテミスに似たダフネに、妹よ、と呼びかけるとその神々しさにうたれてダフネは応える。祭りに紛れてダフネに近づいたロイキッボス は、牛飼いのアポロに姿を現せと言い、呪いの言葉を浴びせる。怒ったアポロはロイキッポスを弓で射て殺してしまう。ダフネは深く嘆き、アポロも激情に駆ら れた自らを責め、永遠の恋人ダフネを月桂樹に変身させるように大神ゼウスに祈りを捧げる、という物語である。
「ダフネ」


「ダフネ」
 大島の演出は次第に盛り上げ、最後に圧巻のシーンを創っている。時間を超越し、変わらぬ緑を戴く月桂樹に変貌し、ダフネが永遠の愛の姿そのものとなるシーン。黄金の光が満ち溢れる中で、白河直子がソロを踊り、愛の永遠を詠う見事な力強く美しい演出である。
ディオニソス祭りのシーンでも宙吊りを使った演出が効果的だったし、ダフネが月桂樹に変貌するシーンも高さを生かして鮮やかだった。大島は「神話という 秘密の入り口から、宇宙の無尽蔵なエネルギーが流れ込み、何かしらの生命の喜悦と輝きが<今>という刹那に結実する」、そういった舞台を創りたかったと 語っているが、まさに、有限な人間だから想像することができる「愛の荘厳」を見せてくれた舞台であった。

(2月14日、東京文化会館)