ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2005.01.10]

●ダンカンのダンスを継承するブレシアニ博士が来日し公演&レクチャー

  良く知られているようにイサドラ・ダンカンは、自然と古代ギリシャ世界にインスピレーションを受けて新しい舞踊を創造した。「精神表現が身体のあらゆる経 路を通じて流出する」として、自然や神話のイメージを感情と関連させ、ベートーヴェン、ショパン、シューベルト、ワーグナーなどの音楽で踊った。同時代の 舞踊家はもちろん、ロダンやスタニスラフスキー、コクトーなどにも多大な影響を与えている。

ジーン・ブレシアニ博士は、ニューヨーク大学大学院で哲学の博士号を取得。マリア=テレサ・ダンカンの創立したイサドラ・ダンカン国際学校を引き継ぎ、 現在、この学校の芸術監督を務めている。今回は、イサドラ・ダンカン国際学校日本大使で、ニューヨーク大学でダンスを学んだ舞踊家の佐藤道代の尽力により 来日、津田塾大学、国際文化会館ほかの協力により公演とレクチャーが実現した。
津田塾大学では、「永遠の回帰;イサドラ・ダンカンとその生き方」と題した公開講座と、ダンカン理論独特の胸(太陽神経叢)から流れ出る動きを体験するワークショップが開催され、定員を越える参加者があった。通訳は日本大使の佐藤道代。

  ついで、東京アメリカン・センターと国際文化会館の共催により、「イサドラ・ダンカンへのオマージュ」公演が行われ、ジーン・ブレシアニと佐藤道代が踊っ た。まず最初に、ショパンのノクターン、エチュード、ワルツ、マズルカなどがブレシアニと佐藤、それぞれのソロなどで踊られた。続いて、ダンカンが彼女の ダンスの学校を創った国々の音楽たちへのオマージュとして、ワーグナー、ショパン、スクリャービン。さらに、1915年にダンカンが恋人のゴードン・クレ イグへのラヴレターとして創った、ブラームスのワルツ『愛の諸相』----あいさつ,ララバイ、うお座の夢、ジプシーになりたい、アフロディテ、貴方は私 に互角かしら、愛の交歓、ジプシー、ジプシーの血潮、バラの花びらなど11曲がつぎつぎと披露された。最後の曲は、百合の花束を中央においたシューベルト の『アベマリア』。

衣裳はシルクのギリシャ風シミューズ・ドレスで、上半身の動きが美しいのはもちろんだが、細やかなステップの優雅さが一際、目を惹いた。身体という寺院 を使って人間を表す、という言葉の通り、清新な生気溢れるダンスを体感し、イサドラ芸術の一端に触れることができたのは、まさに望外の喜びであった。これ を契機に、今後、日本でもイサドラ・ダンスの継承発展が盛んになっていくことを切望したい。

(11月30日、ウェルネス・センター公開講座、ワークショップ津田梅子記念交流会館、12月3日、イサドラ・ダンカンへのオマージュ国際文化会館講堂)