ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From Tokyo <東京>: 最新の記事

From Tokyo <東京>: 月別アーカイブ

佐々木 三重子 text by Mieko Sasaki 
[2005.01.10]

●東京シティ・バレエ団と江東区でバレエを育てる会による『くるみ割り人形』

東京シティ・バレエ団の『くるみ割り人形』は、「江東区でバレエを育てる会」の子供たちがプロのダンサーと一緒になって踊れるよう、 石井清子がイワーノフ版に基づいて構成・演出・振り付けたもの。同バレエ団が石井のプロダクションを最初に上演したのは1986年だが、1994年に江東区と芸術提携を結び、 同年ティアラこうとうのこけら落としにグレードアップした『くるみ』を上演して以来、ここを本拠地にしている。3公演の最終回を観たが、これまでの地元との交流やバレエ振興の努力の成果がうかがえる舞台だった。

クララの家に向う人々の描写は、実際に子供たちを起用したため、元気の良い少年たちや、母親の後ろに背の順に子供が続く様など、正にリアル。 クララ役の少女、村木真美は終止落ち着いた演技で、コロンビーヌやピエロ役の子供たちも中々の人形振りだった。ねずみとおもちゃの兵隊の戦争では、大勢の子供たちの動きが見事に統率されていた。 夢の中のコロンビーヌやムーア人形、キャンドルケーキの子供たちを演じた幼い子供らが、ちょこまかと動く姿も愛らしく、少女たちによる花のワルツまであった。 大人はといえば、金平糖の女王の関本美奈とコクリューシュ王子の黄凱が模範演技のように典雅なグラン・パ・ド・ドゥを披露、クララの志賀育恵とくるみ割り人形の穴吹淳も安定した踊りだった。

今回は2組のキャストで140人近い子供たちが出演したそうだが、皆、与えられた役を張り切って踊っていた。 ステージに立つという子供たちの夢を叶えて励ます、こんな『くるみ割り人形』があってもよい。会場は、温もりのある雰囲気で満たされていた。

オーケストラは、江東区と芸術提携している東京シティ・フィルで、指揮はこちらも福田一雄だった。ダンスに合わせて音楽のテンポを急に変えることはよくあるが、バレエを良く知る福田は、 ダンサーの動きを先取りするのだろう、唐突な印象を与えずに自然な音楽の流れを保っていた。

(12月19日・夜、ティアラこうとう)


なお、前号の記事で、当初、上海歌舞団を初来日としましたが、小編成では2002年に来日していたとのことです。)