ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From Tokyo <東京>: 最新の記事

From Tokyo <東京>: 月別アーカイブ

関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2004.09.10]

●パパ・タラフマラの『見えない都市の夢』

 小池博史が率いるパパ・タラフマラが目指しているのは、南米 コロンビアの作家ガブリエル・ガルシア=マルケスが1967年に発表した長篇小説『百年の孤独』の舞台化を実現することである。27年間もこの作品をやり たくて仕方がなかったのだが、パパ・タラフマラの成熟を待って、いよいよその『百年の孤独』プロジェクトが、姿を現し始めた。

『見えない都市の夢』は、これから続けられる「百年の孤独・プロジェクト」公演の第1弾であり、『百年の孤独』の前半部にあたるのだが独立した作品でもある、という。

舞台よりちょっと小さい台型を載せ、その上ですべてのパフォーマンスが行われる。登場人物は舞台の背後に飛び下りて退場することもできる。数カ所に金属 製の短い柱が立てられ、円形の蛍光灯やフィラメントが見える白銀灯(ライトオブジェ)などがしばしば付け替えられながら光を発している。あるいは、ロボッ トの腕の部分を連想させるパーツが規則的に伸縮を繰り返す柱(機械オブジェ)が立っていたりする。

つまり、舞台の上に抽象化された都市空間が設定されているのである。存在しない、と思われる言葉を発したり、ダンスと音(音楽や声)が混淆して、タラフ マラ独特の、イメージ優先とでもいうべきパフォーマンスが展開する。今回は、比較的シンプルな動きの同じくらいの短いシーケンスが組み合わされ、全体でひ とつのリズムを構成しようと試みられていた。

来年の4月から『百年の孤独』ワークショップ(サンパウロ)が始まり、12月には国内公演ツアーが始まるという。期待したいプロジェクトのひとつである。(8月27日、国際交流基金フォーラム)