ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2004.04.10]

折田克子、黒田育世、能美健志コンテンポラリー・ダンスの三作品

石井みどり・折田克子舞踊団の『その実は、心の声 ポーランド作曲家を踊る』は、「間奏曲」 (折田克子・振付)、「 Memory」(折田克子・振付)、「車窓」(泉克芳・振付)「その実は、心 の声」が踊られた。( 3月18日、メルパルクホール)

メインの作品「その実は、心の声」は、ヘンリィ・グレッキ、ショパン、ワルソウ・ヴィレッジ・バンド他のポーランドの作曲家の音楽を使っている。 小石をぎっしり詰めた袋をいくつも並べて、舞台前のセリが上がり、飽和状態になるとその袋が次々奇妙な音をたてて破れる。 といったちょっと恐ろしくなるようなイメージが展開し、最後には木箱から赤い実が現れる。 苛酷な厳しい世界の中で、赤い実は優しさを象徴しているかのようであった。そしてこの作品では、91歳の石井みどりが踊った。 すでに視力を失っているというが、驚くべき存在感を感じさせる元気な舞台であった。万雷の喝采を浴びたことは言うまでもない。

パークタワー・ネクスト・ダンス・フェスティバルで上演された、黒田育世のBATIK新作『花は流れて時は固まる』を観た。(3月2日、パークタワー・ホール)

私は黒田作品を観るのは2作めだが、彼女の舞台には、なにかを捉えてやろう、というような鋭い力強さと、 女性だけが醸すことのできる独特のエロティシズムが潜んでいる。そうしたものを激しい身体への執着によって舞台に提出する。 『花は流れて時は固まる』は、6人の女性ダンサーが「花」と時間を巡ってかなり苛酷な踊りを繰り広げる。

舞台の前に水を張った水路をつくり、そこに花を浮かべたりあるいは撒いたり、食べてしまったりするのだが、 シュールなイメージと浮き彫りされた女性の実感的なものが混じり合って、不思議な雰囲気を描いた。 最後の女性ダンサーが次々と落下を繰り返すシーンもインパクトがあった。男性の観客には圧倒されるような印象があったのではないだろうか。

能美健志&ダンステアトロン21の『Directionn of Harmonizaition』が上演された。(3月31日昼、北沢タウンホール) この作品は、昨年9月にフィラディルフィアの<グループモーション>に振付けたもの。10月には東京でも上演されたが、 今回はさらに2つのパートを加えたヴァージョンである。ダンサーは、能美のほかに軽部裕美、白石貴之それに新体操で活躍した山田海蜂ほかが参加した。

舞台は真っ暗闇から、いくつかの丸い小さなスポットが床に投じられ、ダンサーが手などの身体の一部を照らす。 そしてダンスが始まる。コンタクトのある踊りまったくコンタクトのない群舞や能美と軽部の踊りなどが続く。 幻想のリズムと現実のリズムが混じり合い、半幻想というか現実なのか幻想なのか判別できない動きとフォーメーションが展開する。 よくコントロールされた振りで、7人のダンサーがめまぐるしく踊った。ダンサーの動きの感覚は総じて均質な舞台だったが、山田の動きに軽さが感じられた。

「その実は、心の声」石井みどり、折田克子ほか