ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2014.01.10]

♪バレエ昔も今も♪BALLET OLD AND NEW♪
Dance Cubeに「キャラクターダンス講座」を連載してくださっているナデジタ. L . ルジーヌさんが来日。昨年末から名古屋に滞在して伊勢順バレエ団のために、『雪国へのいざない』という小品を振付けた。そして1月4日、中村文化小劇場の伊勢順バレエ団創立60周年記念アトリエ公演で初演した。ナデジタさんは元パリ・オペラ座バレエ学校の教師で、最近ではパリ・オペラ座のギヨーム・バールが復元・振付けた『泉』のコーカサスの踊りに振付協力している。
『雪国へのいざない』はタイトル通り、『白鳥の湖』で踊られるので良く知られる「ルースカヤ」(今回は今井美樹さんが踊った)や「ファランドール」「ゴパック」などのウクライナやロシアを始めとする北の人々が培ってきた民族舞踊を再構成したもの。特に色とりどりの衣裳が目に鮮やかだった。そしてステップがまた、素晴らしかった。力強く、しっかりと闊達。しかもみるからに踊る喜び溢れている。そして一人一人ではなく、村全体、地域全体が踊って祝う喜びに満ちていることが分る。伊勢順バレエ団はジャズダンスアカデミーでもあるが、団員たちのステップは軽やかそのもの。バレエ・クラシックがダンス・ドゥ・キャラクテールから、多くのステップを採り入れていることが良く理解できるパフォーマンスでもあった。
キャラクターダンスは日本ではあまり語られることは多くないが、バランシンが南イタリアの民族舞踊タランテラをフューチャーして振付けたダンスは特に有名。ガラ公演で踊られるといつも観客席が大いに沸く。
今号の「キャラクターダンス講座」は、そのタランテラをナデジタさんが解説していてとてもおもしろい。ご興味のある方は、ぜひご一読ください。

クララのクリストフに寄せる淡い恋心を丁寧に演出した久保綋一版『くるみ割り人形』

NBAバレエ団
『くるみ割り人形』久保綋一:演出・振付(L. イワーノフ原振付による)

2013年もまた『くるみ割り人形』の季節がやって来た。バレエ・ファンにとっても、年に1回しかバレエを見ない人にとっても『くるみ割り人形』を、チャイコフスキーのメロディを思い出し、クリスマスへの想いを馳せる。ほんとうに多くのバレエ団が『くるみ割り人形』を上演するようになったものだ。 昨年は小林紀子バレエ・シアターとスターダンサーズ・バレエ団が新制作したが、今年はNBAバレエ団が、久保綋一芸術監督の演出・振付により舞台装置一新した『くるみ割り人形』を新制作した。 E. T. A. ホフマンの原作や久保が踊ってきたコロラド・バレエ版も参考にして演出を行ったという。美術デザイナーの安藤基彦と映像作家の立石勇人を起用して、斬新なヴィジュアルを創ることも試みている。

tokyo1401a_2229.jpg 撮影/高橋忠臣

物語は、ドロッセルマイヤーの甥クリストフを登場させ、クララが彼に淡い恋心を感じて慕っている、という設定。クララは敢えて12歳の設定としているそうだ。叔父のドロッセルマイヤー同様に判事を目指すクリストフは、海外留学することになった。クリストフは例年のようにクリスマスに会うことのできなくなったクララのために、自分が指定したようにくるみ割り人形を作ってクララに贈って欲しい、と叔父のドロッセルマイヤーに頼む。クララはクリストフに会えない代わりに贈られた、くるみ割り人形をとても大切にしている。しかし、その夜、くるみ割り人形を抱いたまま眠ってしまうと、ネズミの軍隊が現れて......クリスマスツリーが巨大化して! というか、クララが人形と同じサイズに小さくなってしまったのだ。そしてくるみ割り人形が率いるおもちゃの兵隊とねずみ軍の戦いの中、クララが窮地に陥ったくるみ割り人形を介抱すると、大好きなクリストフに変身した‥‥。このスペクタクル・シーンは、映像と装置がうまく協力し合って、見事な効果をあげていた。 クララはクリストフとともにキラキラまばゆい雪の精たちが踊る国を過ぎて、人形たちの国に着く。金平糖の精の出迎えを受け、人形たちの楽しい踊りと金平糖の精とカバリエールの素晴らしいグラン・パ・ド・ドゥを見る。 気が付くとクララは居間で眠ってしまったのだった‥‥。 クララの気持ち、少女の心に生まれた純粋な淡い恋心を丁寧に描いた演出。物語の流れがとても素直に感じられ、『くるみ割り人形』というバレエの良さがうまく現われていた。
カバリエールはYAGPとニュ−ヨーク国際コンクールでゴールドメダルを受賞し、ABTのスタジオ・カンパニーでも踊ったジョセフ・ガッティ。金平糖の精の長崎真湖と力強いステップでパ・ド・ドゥを踊って作品を盛り上げた。
(2013年12月14日昼 なかの ZERO 大ホール)

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(すべて)撮影/高橋忠臣